魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方3
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況にもなりかねない。リブロムはそう言った。
『管理局と呑気に殺し合ってる暇なんざ相棒には残されてねえんだ!』
時間がない。それこそが最大の問題だった。それくらいの事は分かっているけれど、
『ああクソ。だってのに、何だってあんなところですっ転ぶんだよ!? 空き缶くらい踏み潰せよな!?』
「そんなこと言ったって、あれスチール缶だったんだよ!?」
まぁ、アルミ缶だったら転ばずに踏み潰せたかと言われると、それはそれで困ってしまうのだけれど。と、そんな事はともかく。
ごく普通の道で。ただ管理局のサーチャーの探索範囲ぎりぎりのその場所で。リブロムの指示に従い、そーっと通り抜けようとした時の事だ。そちらにばかり気を取られていて、足元の空き缶――缶コーヒーだったから、多分スチール缶――に足を取られ、私は思いっきり転ぶ羽目になった。さらに転んだ先は、サーチャーの探索圏内で……今に至る。
ああもう。擦りむいた膝の痛み以外の理由で泣いてしまいそうだ。
「っていうか、何で私はこんなところを走ってるの?!」
その理由が未だによく分からない。だから、このまま捕まったとしても何も答えようがなかったりする訳で。
『オレにも確証はねえ……が、ひょっとしたら相棒の居場所の手がかりが手に入るかもしれなかったんだよ。オマエが転ばなきゃな!』
「あうううう……」
怒鳴り返すだけの気力がない。体力がもう限界だった。もう歩いているのと変わらない。膝から力が抜けて、今にも倒れてしまいそうだ。それでも身体を動かし続けている執念もそろそろ底をつく。
『おらしっかりしろ! 追いつかれたらあのクロノとか言うガキに散々ナニされて嫁に行けねえ身体にされるぞ!』
「よめ……?」
頭がぼんやりしてきた。そのせいか、リブロムが言っている事がよく分からない。
『だから。筆舌に尽くしがたいよーな辱めを受けて子どもを産めない身体に――』
「うわああああッ!? 何かサーチャーの数増えてきてますよ!? リブロムさんが余計な事言ったせいで!?」
『何ぃ? 何てことだ。オレとした事が向こうの図星を突いちまったか!』
「だからどーしてそう火に油を注ぐような事を?! って、なのはそこ曲がって! 回り込まれて――ッ!」
二人が何を言い合っているのか分からないまま――それでも何とか近くの曲がり角を曲がる。と、
『お?』
「あれ……?」
きょとんとした様子で、リブロムとユーノが呟いた。だからという訳ではないが、そのままふらふらと歩き、壁にもたれかかってずるずると座り込む。その間、リブロムもユーノも何も言わなかった。その代わり、ただじっと空を見上げている。そして、
『どう思うよ?』
「理由は分かりません。でも、サーチャーの統制が乱れたのは事実だと思います。アースラのシステムトラブル
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