魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方3
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ぇ!」
一切の継ぎ目なく続く怒涛の罵声に引きずられるようにして、朝の街――大通りから大きく外れた細道をひたすらに走る。ここがどこなのかさっぱり分からない。多分、海鳴市から出ているはずだ。はずなのだけれど、よく分からない。全く見慣れない場所だった。いや、本当に。ここは一体どこなのか。
『クソったれが。こんなところまで追いかけてきやがるとは権力の犬ってのはつくづく度し難いぜ』
リブロムが相変わらずの毒舌を発揮するけれど、それはともかくとして。
こんなところ。リブロムをしてそう言わせるような所に踏み込んだ時点で、多分トラブルの足音が近づいていたのだと思う。私だって生まれてから一〇年近くを海鳴市で過ごしている。いくら隣町とはいえ、全く見た事がないほど箱入り娘ではないつもりだ。いや、それどころかああ見えて意外とアウトドア派な――というか、素直に放浪癖のある光に連れられて色々な場所に行っていると言う自負があるくらいだ。……少なくとも、そのつもりだったのだけれど。
「こんな場所じゃ、なのはじゃなくたって追いつかれちゃいますよ!」
『なら何でオレ達は追いつけねえんだよ!?』
「それは単純にあの人の身体能力がおかしいだけです!」
ユーノとリブロムが怒鳴り合う。理由は簡単だ。私達は今、最も避けなければならない状況に追いやられている。つまり、管理局の人達に見つかってしまった。このまま捕まってしまえば、光やあの子達を救い出す事が出来なくなる。
では何故そんな事になってしまったのか。それは、実はリブロムとユーノのせいだった。……少なくとも、きっかけを作ったのはこの二人だと思う。
私が今走っているのは、お世辞にも道と呼べるような場所ではなかった。草やらガラクタやらが散乱する、人が通れるだけの隙間とでも言った方がいい。ちなみにさっきまでは排水路の脇にあった岸らしきところを走らされていた。お陰で服がドロドロだ。
(洗ったらちゃんと綺麗になるかなぁ?)
そんな場合ではないと分かっていても、ついそんな事を考えてしまう。ああ見えて、お母さんは怒らせると結構怖いのだ。それこそ、光でも頭が上がらないくらいには。
「これからどうするんですか? 未回収のジュエルシードはもうないのに、なのはがこんな場所にいる時点で管理局が諦めるとは思えませんよ?!」
それは確かに。ここは私の家からは遠すぎる。そんなところに私がいる理由を、リンディ達が考えないとは思えない。
『ンな事は分かってんだよ! クソったれ。今さら撤退したところでこの辺りを徹底的に張られちまう。張られるだけならまだしも、クロノとか言うガキが先に相棒を見つけてみろ。今度こそ相棒はあのガキを殺すぞ!』
基本的に相棒は魔導師に容赦しない。そのうえ、もう時間がない。衝動に飲まれたまま気づけば殺しているという状
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