暁 〜小説投稿サイト〜
その魂に祝福を
魔石の時代
第四章
覚悟と選択の行方3
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一撃を上手く利用して逃げな≫
 無茶を言う。だが、この結界を僕一人で破壊するのは困難だ。慌てて全力で魔力を収束させる。この威力で足りるか。いや、そもそも間に合うか。その時点で賭けだが――
「ブレイズキャノン!」
 後方に飛び、着弾までの距離を稼ぐ事で何とか勝ちをもぎ取った。僕の砲撃魔法と、御神光の火球が真正面から激突し、派手に爆裂する。視界が白熱する中、何かが砕けるような音がして――
「ぁ……ッ!?」
 爆風に翻弄されるままに、何かを突き破った。何が起こったか分からないまま――呼吸すらままならないまま、それでも反射的に横に飛び退き――そこで気付く。
(廊下!)
 つまり、結界の破壊には成功した。リビングを突き抜け、ガラス窓を破り、外へと飛び出す。同時、背筋を悪寒が駆け抜ける。それに従い身体を捻る。
「ぐ……ッ」
 背中から肩にかけて、熱にも似た激痛が走る。首だけ捻り振り返ると御神光愛用の回転する刃が虚空に消えるのが見えた。斬られたらしい。致命傷ではないと思いたいが――少なくとも無視できるような浅い傷ではない。飛翔魔法の制御が乱れた。このままでは、墜落死の危険があった。何とか魔力をかき集める。そんな中で、
『オイオイ。ひょっとして、これはちょっとヤバいんじゃねえか?!』
 聞き覚えのある――というか、一度聞けばそう簡単には忘れられそうにない独特な、あの魔導書の声を聞いた。


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