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バカとテストと白銀(ぎん)の姫君
第二章 彼と彼女の事情
第十一話 千早の事情
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気を醸し出している
妃宮の顔を見ないようにしながらワシは取りあえず思ったことを口に出した。
「お主の召喚獣の機関銃じゃ無理かの?」
「美波さんだけ、っていうのは難しいですね。残念ながら映画世界でのスナイパーほどの腕はまだありませんので。複数人が居ますからその間に島田さんはやられてしまうことは請け合いですね。」
ということは…そうじゃの……作戦全体の面から考えれば…
「女子生徒を人質に取って、男子を脅迫しているということ事態がその性根の悪さをよく表しているのですよ。美波さんには悪いですがここは補習室でその腐りきって倒壊直前のその人間としての倫理を西村先生に昏々と淘汰して戴くべきなのです。やはり(わたくし)は間違っていなかった。男は信用ならないと」

憎悪に染まりきった紫の目、そんな目をしているというのに口元には普段と変わらぬ微笑みは絶えず、その表情は目を除けばいつもと全く変わらない。

ワシはコヤツを止めるべきなのじゃろうか?
「そもそも……」
そのとき階段をばたばたと降りてくる音が聞こえた。
「島田さんが捕まったって本当なの?」
「吉井!!」
「来るな!来たら承知しないぞ!」
明久か!
「妃宮よ、ここは様子を見るぞい。」
「………」
「妃宮」
「…えぇ、見苦しいところを見せてしまい申し訳ありません。」
そこで一つ深呼吸をした妃宮はその異常な恐ろしい目つきも直し、いつもと全く変わらない雰囲気に戻して、しかし少し茶目っ気を綯い交ぜながらワシにこう言ったのじゃった。
「そうですね、ここはひとつ吉井君に期待しましょうか。」
じゃからお主はどこからどこが本心なのじゃよ。
何となくこの言葉は本心からなのじゃろうとは思うのじゃが…
________________

「どうして島田さんは捕まったんだ!」
「ふん、吉井。お前がけがをして保健室に連れて行かれたという情報を流したらこの様だよ!いいな俺たちの言うことを聞けよ!」
「……みんな、彼は嘘を付いている!あの島田さんは偽物だよ!」
嘘でしょ…そこでまさか見捨てるとは……いったいどういうことを考えているんだろう彼は。
「ちょっと吉井!ウチは本物よ!何でそうなるのよ!」
「島田さんが保健室に行くなんてそんなことがある訳ないじゃんか!」
「吉井!ウチは本当にあんたのことを心配して……」
映画ならここから吉井が犯人を殴りとばして、ハッピーエンド。もしくはそこからイチャラブに発展するのですが、はてさて顔を俯けて、唇を震わせている彼が紡いだ言葉は……
「もし本物ならあんたは鬼だよ!何だって自分の手で始末できなくなることを心配するんだよ!」
「吉井のバカ!!」
島田さんの心の底からの絶叫が階段中に響きわたる。
「明久よ、なんと罪深いことをするのじゃ……」

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