第二章 彼と彼女の事情
第十一話 千早の事情
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陣守備に加えたのじゃが、本陣守備のヤツらから四階の旧校舎の階段封鎖をする部隊が編成され、そこに配属されたようじゃ。
「妃宮よ、それではワシらも戻るとしようかの?」
「えぇ、帰投しましょうか。」
そう言ってふんわりと笑いながら、妃宮は行きましょうと返してくる。
ワシはお主のことがよく分からぬ。
お主はどこからが演技で、どこからが本心なのじゃ?
「秀吉君?どうかなさいましたか?」
それとも初めからお主のそれは演技なのかのう。
「済まぬ、つまらぬ事を考えておった。」
ヤツの隣を歩きながら、ワシは今までに感じてきた違和感を思い返していた。
手に触れただけでぴくりと反応する。(転入生で緊張がまだ解けていなかったとも考えられるがの)
土屋を軽く引きずることが出来る腕っ節(じゃがしかし、島田も明久をシバいておるからの……)
そして他人との関係をあまり深くしようとはしない、家に招かれてからもワシは何となく千早などとこやつのこと軽くを呼べる気がしないのは何故じゃろう?
ここまでの事柄からワシは確信したことがあったのじゃが、こうやって妃宮本人の近くにいると、それはワシの考え過ぎなような気がする。
「秀吉君?私の顔に何か付いているでしょうか?」
「ふむ、お主が汗一つ掻かずに指揮を取っているのは何故なのかと思っていただけじゃよ。」
そうやって飄々と自分の考えていることを誤魔化しておるワシがコヤツの事をどうこうととやかく言えた者ではないがの。
ワシの顔をじっと見つめてくる妃宮は、確かにその横顔はただの北欧美人にしか見えないのじゃし、ワシはこやつの演技から深読みしすぎたのじゃろうか、それも姉上が好きそうな方向に。
姉弟とあるだけあって実はワシにもそう言うのを考える趣味があったなど自ら認めたようで苦虫を噛みつぶしたような気分になるの。
「秀吉君はどうやら相当不穏なことを考えていたのですね。」
「ちっ、違うのじゃよ。その……」
「言いにくいことならば口に出していただかなくとも構いませんよ、そんなことよりも秀吉君、あれをどうしましょうか?」
そういってワシらは階段の踊り場から三階の珍騒動を見たのじゃ。
「お前ら、大人しくしく俺たちの言うことを聞け!さもなくば……」
「いやあぁぁ!!」
「こいつを補習室送りにしてやる!」
「ちくしょう、何か手はないか!」
人質(?)に取られている島田の召喚獣の首にはBクラスの生徒の召喚獣の刀が当てられている。どちらかが少しでも動けば島田の戦死は確定するじゃろう。
だがじゃ、
「妃宮はどう思うのじゃ?」
「そうですね、演劇のネタの一つには成るのではありませんか?」
そう言って悠然と微笑んでいる妃宮のそれは、明らかに演技ではなくそれどころか何とも言えぬ殺気と怒
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