第二章 彼と彼女の事情
第十一話 千早の事情
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側から怒鳴り声が聞こえた。
「D班一階への道の封鎖は完了した?」
嘘……そんな僕らは二階に閉じこめられてしまった?
「C班へ一階から二階への通行はAとDで完了、BとCはどうだ!」
とにかく旧校舎の和室を妃宮さんが特別に借り受けて貰っており、僕らMF(機動部隊)はそこに送受信器を置いていた。
「おい、吉井!どうしたんだよ!」
情報収集の報告のために和室に戻っていた浅賀君がいたことにホッとする。よかったまだ僕は一人じゃない!
「浅賀君、Cクラスが今二階を完全に封鎖したところなんだよ。」
「Cって……くそ、それじゃ俺たちはここから本陣に戻れないって事か……」
パチパチと鍵盤を叩きながら、僕が口頭で説明する現在の状況についても報告書を纏めて本陣に浅賀君は送ってくれた。
そして浅賀君からは諜報任務に就いていたもう一人がすでにやられてしまったということを聞いたとき、僕らMFの半分がもう戦死判定を喰らっているという事に気づいた。
こんな状態じゃまともに作戦も立てられっこない。
「ひとまず俺たちはバレないようにここにいるべきだよな……」
「そうだね、僕らが外に出ても厳戒態勢じゃせいぜい時間稼ぎぐらいしかできないからね……」
その後、雄二の本陣から妃宮さんをここに援軍として送るからそれについて戻ってこいという指示が来た。
作戦失敗も想定内です、という妃宮さんからの慰めの打電に感動を覚えながら僕ら妃宮さんが来るのを待っていた。
_________
コンコン
和室のドアがノックされ、外側から優しい声で呼びかけられる。
「吉井君開けてください、妃宮です。」
僕は慌てて鍵を開けて救援を迎え入れる。
「ありがとう、妃宮さん」
「面目ない、まさか封鎖されるとは思わなかった……」
紛うことなく妃宮さん本人が、いつもと変わらない微笑みを浮かべながら僕らを迎えに来てくれた。
「そうですね、Cクラスが最初から戦線に加わっていればこんな事には成らなかったかと思います。それよりもお二人とも撤退しますよ。」
何でもないように言われて、逆に僕らは気落ちしながら和室から出ると秀吉と高橋女史もそこには居た。
「明久よ、災難じゃったの。先ほどの階段をまた封鎖でもされたら厄介じゃし、撤退を急ぐぞい。」
「「了解!」」
_____10:34 旧校舎二階_____
「高橋先生、ありがとうございました。」
「これも仕事の内です、改めて取りざたすることではありません。」
妃宮と頭を下げると高橋女史はそんなことを言いながら職員室へと戻っていったのじゃった。
高橋女史と分かれる理由は、単純に三時間目の授業の用意をするそうじゃがそのような事は頼む前から知っておったことじゃ。
明久たちの護送を終えた後、本陣にいた雄二のヤツは屋上に戻り、明久と浅賀を本
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