暁 〜小説投稿サイト〜
FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
幽鬼の支配者編
EP.27 最後の幕上げ
[1/10]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

 幽鬼の支配者(ファントムロード)の本部が変形した巨大ロボット、魔導巨人ファントムMk2が発動しようとしている禁忌魔法・“煉獄砕破(アビスブレイク)”は完成しつつあった。
 魔方陣の精製速度は当初より随分と落ちているものの、脅威は依然として変わらない。
 妖精の尻尾(フェアリーテイル)ごとマグノリアを破壊しようとするこの魔法の発動を阻止するため、エルザは険しい表情で巨人の中を走っていた。

「……」

 眉をしかめ、端麗な顔を歪めているさまは敵に対する怒りに間近に迫った脅威に対する緊張感、そして破滅をもたらすその魔法を絶対に阻止するのだ、という固い覚悟の現れかと思うだろうが……彼女の胸の内を占めているのは、それだけではなかった。

「……ええい、こんな事を考えている場合ではないというのに……!」

 走りながら苛立たしげに歯を強く噛みしめ、忌々しげに悪態をつく。


 ワタルと別れてから、気付かないふりをしていたが……胸騒ぎが止む気配がないのだ。


 彼は無事なのだろうか、明らかに暴走していたミラジェーンを止める事が出来たのだろうか。
 そして……彼らが演じていたであろう激闘の気配は既に感じられないのに、彼が追い付く気配が無いのは、いったい何故なのか……。

「……いや、アイツがしくじるはずがない」

 ある時は隣で、ある時は背中を見て、そしてある時は対峙して、数えきれないほど彼の戦いぶりを見ていた。
 だからこそ、彼の力を誰よりも知っているのは自分である――エルザにはそんな自負と自信があった。

 だが、暴走しているとはいえ、彼がミラジェーンに後れを取るはずがないと、確信に近いものを感じているのに……不安に似たナニカ――胸騒ぎが収まる気配は無い。

 そして、ギルドの危機であるというのに、彼の事ばかり考えている――そんな自分に、彼女は苛立っていた。



 憶えのある爆音と空気が焼けるほどの熱――――ナツと大空のアリアの戦闘の気配を感じ取ったのは、そんな時だった。


    =  =  =


 魔導巨人ファントムMk2内部の大広間。
 エレメント4最後にして最強の魔導士、大空のアリアとナツの戦闘は、一方的といって差し支えないものだった。


 もちろん、ナツの劣勢で。

「終わりだ、“火竜(サラマンダ―)”。貴方にマカロフと同じ苦しみを与えてやろう……空域“滅”!」
「やべっ――――がぁああああああああっ!!」
「ナツーーーーーーッ!!」

 蜃気楼のように、ナツの背後に現れたアリアは、両掌を翳す。
 その魔法は“枯渇(ドレイン)”――妖精の尻尾(フェアリーテイル)のマスターであり、聖十大魔道の一人であるマカロフの魔力すらも根こそぎ奪った魔法
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ