暁 〜小説投稿サイト〜
FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
幽鬼の支配者編
EP.27 最後の幕上げ
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エルザを背に立ち、まるで大岩を押すかのように両手の掌を前に向けている黒髪の青年の姿が現れた。
 ジョゼの魔力を受け止めて弾いた際に負った両手の軽い火傷をはじめとして、顔や身体の所々に傷を負っているものの……その顔に恐れの色はない。

「遅刻だぞ、ワタル」
「悪い悪い……でも、追いついただろ?」

 まったくズルい、と、エルザは目の前で口元を歪ませて不敵に笑う青年への想いを内心で吐露する。
 先程まで正体の分からない苛立ちと胸騒ぎに心を逸らせていたというのに……彼の姿を確認し、そして笑顔を向けられただけで――――

「(いや、この期に及んで分からないなどと自分を誤魔化すのは止めよう。私は心のどこかで気付いていた。この苛立ちはワタルをミラジェーンに取られてしまうのではないか……という不安だ、という事に……)」

 だが……今、こうして隣に立ってみると、焦燥は吹き飛び、疲労と消耗で頼りなかった身体にしっかりとした力が入っているのがはっきりと分かる。
 勝手といって余りある程の変わり様に、エルザは自分が悩んでいたのが下らなく思えた。

 これをズルいと言わずして何というのか、と……。

 それを嫌と思わず、むしろ両手を上げて歓迎している自分に、彼女は思わず苦笑を漏らした。

「(まったく……私はコイツが居ないとダメだな)」

 ジョゼという強大で強固な壁が目の前にそびえ立っている。これを越えねばギルドに未来は無いし、自分たちでは越えられる保証も無い。客観的に見て、勝てる可能性は半分も無いだろう。

 だというのに、エルザの内心を埋め尽くしていたのは絶望ではなかった。

「(お前もそう思ってるのか? ……だといいな……)」

 彼女の胸の内にあったのは、春の陽光のように穏やかで暖かな感情であり、真夏の太陽のように燃える激しい熱情だった。

()れるか、エルザ?」
「私を誰だと思ってる? お前の隣で戦えるんだ……今までに無い程に絶好調さ!」

 好戦的な笑みを浮かべて肩を並べるエルザの姿に、ワタルは胸を躍らせる。

 確かに敵は今までで一番と断言できるほどに強大である……だが、それがどうした。

 己の傍らで光り輝く緋色――その隣で戦えるのであれば、そんなものは物の数ではない。

「幕上げと言いましたね…………何の幕ですかな?」

 にたりと笑うジョゼに、ワタルは鎖鎌を換装する。
 そして半身になってエルザと背中合わせになると右手の鎌を、エルザは手に持っている魔法剣の切っ先をジョゼに向けて言い放つ。


「決まっている……家族を守る、英雄譚の終幕だ!」
「ちなみに飛び入り、流血、殺傷――何でも有り有りだ。存分に楽しめよ、クソッタレ!」


 己と隣に立つ者の戦意高揚のた
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