幽鬼の支配者編
EP.27 最後の幕上げ
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、誰かが思い知らせてやらないといけないでしょう?」
最高の歌劇と同等以上に心惹かれるものがあった。
僅かな修正で済んだとはいえ、自分の計画を捻じ曲げた者をこの手で邪魔者を捻りつぶし、抵抗を続ける者たちの希望を完膚なきまでに折るために、ジョゼは憤怒をもって動き出したのだ。
= = =
「く……予想以上に魔力の消耗が激しい……」
アリアを倒したエルザは、急に襲われた眩暈に思わず膝をついてしまう。
“ジュピター”の防御で、魔導士の生命力たる魔力を一気に消費してしまったのだ。幾らか休んでも雀の涙ほどしか魔力は回復しないし、更に一撃で済んだとはいえ、アリアとの戦闘――あれを『戦闘』と呼べるならだが――で大技まで使ってしまった。
本来なら安静が必要なほどに、彼女の疲労は濃かった。
それでもルーシィとギルドの危機に必死で体を動かそうとする彼女に、ナツが駆け寄る。
「エルザ! クソ、やっぱりフラフラじゃねーか!」
「あんなに一気に魔力を使っちゃえば、幾らエルザだってこうなるよ……」
「チクショウ……! ルーシィにギルドまで……どうすりゃいいんだ……」
ぼやけて霞む視界と遠い聴覚が、怒りの言葉を吐いて焦っているナツと途方に暮れた様子のハッピーを捉え、エルザは口を開く。
「ナツ……」
「なんだ!?」
ナツはしゃがみこんで、エルザの口元に耳を持っていった。
「ルーシィを、ギルドを守るんだ……お前には、その力がある……」
疲労の色が濃い中、苦しげに呼吸しながら、エルザはナツに、力の解放を促す。
「だから……自分を信じるんだ。私や、ワタルがそうしたように……そして、貫き通せ……」
ナツはエルザの言葉に目を見開いた。
勝ってやる、負かしてやる――――何度そう言っては、逆に沈められてきただろうか。
だが今……その彼女が自分に想いを託してくれている。
「私を超えるのだろう、ナツ!」
そう思うと……傷だらけで、流した血の分だけ体力を消費してしまっている筈の身体に『熱』が灯ったのを、ナツは感じた。
『熱』は心臓から流れる血潮にのって身体中を駆け巡り始める。
「お前には、皆を守れるだけの力があるんだ!!」
そして……
「……――――――――――――――――――――――――ッ!!!」
強い感情――『歓喜』が脳髄を電撃のように駆け抜けたのを最後に……『熱』は新しく、そして荒々しい炎となって、ナツを燃やし――――炎の翼を顕現させる。
巨大な腕のように翼を広げ、身体中にみなぎる力に雄叫びを上げるその姿は、さながら太古の世界を支配していたと伝説に語られる生物――――いまや伝承にのみ姿を見せる、
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