幽鬼の支配者編
EP.27 最後の幕上げ
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『理性……』
『拳を振り下ろす時を間違えれば、取り返しのつかない事が起きてしまうかもしれない。……魔法には、夢や希望が溢れているけど、それと同じくらいの大きさの“闇”も備えている――――それを忘れるな、エルザ』
まだ妖精の尻尾に入る前の事……ワタルと旅をしていた頃に、彼から魔法を教わる時に言われた、戒めのようなものだ。
自分とそう歳が変わらないはずの少年の、アンバランスでどこか物悲しそうな言葉は不思議と、ある種の説得力を持っていて……エルザの心に響いた。
「貴様のように、破壊と殺戮を愉しむ者が……私に勝てるものか」
それを思い出した彼女は剣に付着した血を振り落としながら、冷たく不快そうに吐き捨てる。
聖十クラスの魔力の暴走であれば、苦戦は必至だっただろうが……アリアはそこまで規格外の魔力の持ち主ではなかった。
であれば、エルザが負ける道理はない。
彼女からすれば、理性という箍を外して暴れるアリアは獣以下だったのだから。
「い、一撃ーーー!?」
「やっぱエルザは危ねぇ!!」
「貴様ごときに、マスターが敗れるはずがない。今すぐ、己の武勇伝から抹消しておけ」
一撃も痛打を浴びせられなかった敵を一撃で倒され、今まで自分が苦戦していたのはなんだったのかと、ポカンと大口を開けて戦慄しているナツとハッピーをよそに、エルザは意識を飛ばして倒れ伏すアリアに言い放つのだった。
同時に、部屋……いや、巨人全体が大きく振動したかと思うと、腹の底に響くような轟音と衝撃と共に静寂が満ちた。
内部にいた彼らには分からなかったが、動力源たるエレメント4が全滅した事によって魔導巨人ファントムMk2が停止、“煉獄砕破”の発動阻止に成功したのだ。
“煉獄砕破”の脅威に怯えながら、倒しても倒しても沸いてくるジョゼの“幽兵”と戦っていた妖精の尻尾の魔導士たちは、魔導巨人が崩れ落ちるように機能を停止したのを見て歓声を上げるが……
【きゃあああああああああああっ!!】
魔導巨人の拡声器から、安全な隠れ家に移動させたはずのルーシィの悲鳴が突然響き、冷水を浴びせられたかのように動きを止めてしまう。
僅かな勝機から湧いた希望はすぐに驚愕に変わり、そして絶望へ転換するのだった。
= = =
【あーあー……妖精の尻尾のみなさーん、我々はルーシィの捕獲に成功しましたー】
手塩にかけて育て上げた幽鬼の支配者が誇るエレメント4が、よりにもよって見下していた妖精の尻尾によって全滅した事に、ジョゼは並々ならぬ怒りを抱いていた。
だが、幽鬼の支配者の|滅竜魔導
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