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FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
幽鬼の支配者編
EP.27 最後の幕上げ
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である。もちろん、満身創痍のナツに抗える術は無かった。

 せめてもの抵抗にと、絶叫を上げてみたもののさほど効果は無く、身体から力が、魔導士の生命力たる魔力が全て奪われようとしていたその時だ……

「ぐっ!?」
「な……?」

 突然衝撃が走り、アリアの苦悶の呻きと共に、ナツは全身を覆う倦怠感から解放された。


 何事かと思って振り返ってみれば、そこにあったのは緋色。
 彼がいつも勝負を挑み、そのたびに負けて……それでも諦めずにその背中を超えようとしている鎧の女魔導士――エルザの背中だった。

「エルザ!!」
「ほう……」

 今まさに負けんとしている劣勢中の劣勢からの頼もしい援軍にハッピーが歓喜の声を上げ、鼻柱を蹴られて魔法を中断させられたアリアはたたらを踏みながらも踏みとどまり、布に覆われた目で彼女を見据える。

「お前……いいのか、動いても……」

 “合体魔法(ユニゾンレイド)”で魔導集束砲を防ぎ、魔力を大量に消耗してしまったため、ワタルと共に休んでいたはずのエルザがこの場にいる。
 当然、心配したナツは声を掛けたのだが……彼女はそれには答えなかった。

「……コイツか?」
「ッ!?」

 発したのはただの一言。
 静かで何の色も感じ取れない無機質な声色だったが、それが逆にナツの背筋を凍らせた。
 過去に、彼女が苦労の末に手に入れたという、一日先着で幾つかという限定品のケーキを何かのはずみで台無しにしてしまった時、一月くらい夢にまで見る程に地獄を見た事があるが……その時もここまでの悪寒は感じなかった。

 つまり、ナツに分かったのは、エルザが過去最高潮に怒っている、という事だった。

「マスターを、私たちの親をやったのはこの男か……」
「悲しいな……“火竜”だけではなく、“妖精女王(ティターニア)”の首まで私にくれるとは……。しかし――――」

 明らかに異常と断言できるほどに剣呑な雰囲気を放つエルザに気付いていないのか、はたまた臆していないのか……アリアは余裕の態度を崩さず、嘆きの言葉を言うと、目を覆っている布に手を掛ける。

「流石にエルザが相手となると、私も本気を出さねばいけませんな」

 剥ぎ取られた布の奥から除くアリアの目には、今までの静かな態度からは想像もつかない程好戦的で、狂的ともいえる危険な光に満ちていた。
 久しぶりに視界に光を戻した彼はリミッターを外し、自分でも抑えが効かない程に強力な魔力を遺憾無く解放させる。

「死の空域“(ゼロ)”発動……この空域は全ての命を食い尽くす……!」
「――――ッ!!」

 先程までの戦闘が子供の遊びに思えるほどの魔力に、ナツは全身の鳥肌を立たせる。
 野性的な勘が強い彼だからこそ、この魔法の危険度
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