第3話
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ッと睨みつける。
「なんですか、この手は?」
押し殺した低い声で部隊長に向かって凄むゲオルグ。
10代の青年とは思えない迫力に部隊長はわずかにひるむ。
「私は、少将が定められた規定にのっとって地上部隊の指揮権を預かりました。
また、それに伴って2佐相当の権限も与えられています。
2度は言いませんよ。 この手を離しなさい」
淡々と押し殺した、だが歴戦の勇士のような凄みすら感じさせる口調で
ゲオルグが部隊長に向かって言葉を放つと、部隊長は完全に気圧されてしまい
ゲオルグの襟をつかんでいた手を離してゆっくりと数歩後ずさった。
「申し訳、ありません」
部隊長の手から解放されたゲオルグは服装を整えて数度深呼吸すると
少し表情をゆるめて部隊長の顔を見た。
「いえ、こちらこそ。 頭に血が上っていたからとはいえ
偉そうなことを言ってすみません」
そのとき、通信画面の向こう側から艦長が声を上げた。
『お取り込み中申し訳ないが、話しかけてもかまわんかね?』
その声に反応してビクッと身を震わせたゲオルグは慌てて通信画面の方に
向き直った。
彼が通信画面をその視界にとらえた時、3つの画面の向こうには一様に苦笑した
顔が並んでいた。
「すみません。 文書は読んでいただけましたか?」
ゲオルグがやや気まずげに問いかけると、画面の向こうに居る人々は揃って頷いた。
そして代表して艦長がゲオルグに話しかけてくる。
『文書は読ませてもらった。 が、私の意見もそこにいる彼とほぼ同じだ。
付け加えるなら、この作戦案では大型魔導砲が作戦のキモになるはずだが
今はそれがない。 にもかかわらずこの案を提示してくるということは
それに代わる何かを考えていると思うのだが、違うかね?』
艦長の言葉にゲオルグはゆっくりと頷いた。
「はい。 現在の問題は敵の砲撃によって当方の部隊が接近できないことです。
なのでこちらの砲撃によって敵の火砲をつぶしてしまおうというのがこの作戦案を
提案した理由です。
ただ、艦長の言われるように文書にある魔導砲が今は手元にありません。
そこで、その代わりに艦長にひと働きしていただこうと思っています」
ゲオルグはそこで口元ににやりと笑みを浮かべた。
その小悪人じみた表情に艦長は思わず口元を引き攣らせる。
『私にかね? 君は私になにをさせようと言うんだ』
「そう構えて頂かなくても結構ですよ。 敵の火砲の位置さえ把握されていれば
さほど難しいことではありませんからね」
ゲオルグは艦長に向かって微笑みかけてそう言うと、再び表情を引き締める。
「以前、私は軌道からの急襲降下演習に同行したことがあるんですが、
そ
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