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機動6課副部隊長の憂鬱な日々(リメイク版)
第3話
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指揮は?」

艦長からの返答に絶句し、弱々しい口調でゲオルグはこれからのことを尋ねる。
対して、艦長は淡々とした口調で歴史的事実でも語るかのように話し始めた。

『貴官も知っての通り、本作戦の地上における指揮権は作戦部の士官に
 委譲されることになっていた。 よって、貴官が本時刻をもって
 地上部隊の司令官となった。 貴官の階級は2尉だが本作戦の間のみ
 臨時に2佐相当とする』

次々と艦長の口から飛び出る言葉を理解するにつれ、ゲオルグの顔はだんだんと
青ざめていった。
彼の額からはたらりと一筋の汗が流れ落ちる。

「ちょ、ちょっと待ってください。 急にそんなことを言われてもできませんよ!
 それに、各陸士部隊の部隊長はいずれも佐官です。 
 そのどなたかが指揮するのが自然ではないですか?」

ゲオルグは言葉に詰まりながらも声を大にして常識的な説を唱える。

『彼らは作戦立案過程を当初から知っているわけではないから、適任ではない。
 だから先ほど言ったような指揮権委譲のルールが定められたのは貴官も
 判っているはずだ。 速やかに指揮を引き継ぎ給え』

だが、艦長は作戦立案のプロセスに言及しながら、あくまで当初の計画通りに
ゲオルグに指揮権を引き継ぐよう促した。
ゲオルグは目を閉じて大きく一度深呼吸すると、カッと目を見開いて画面の中の
艦長に向かってゆっくりと頷いた。

「・・・判りました。 指揮権を引き継ぎます」

その声は低く抑えられていて、直前までの取り乱した様子をほとんど感じさせない
落ち着いた調子であった。
そして、ゲオルグは意志の光をその両目に宿らせると艦長に話しかけた。

「それでは、各陸士部隊の指揮官との通信確保を頼みます」

『了解した。 少し待ってくれ』

艦長は一変したゲオルグの雰囲気に気圧されつつ艦のオペレータに
指示を出しはじめた。

「ゲオルグくん」

厳しい表情で画面を見つめるゲオルグの背後から近寄り声を掛けたはやて。
その顔には不安げな表情が浮かんでいた。

「どうなっとんの?」

弱々しい声ではやてが尋ねると、ゲオルグはちらりと目を向けてすぐに画面に
目線を戻した。

「さっき僕らを襲ったのと同じような砲撃が司令部を直撃して司令部の全員と
 連絡がとれなくなったらしい。 で、事前の定めに従って地上部隊の指揮は
 僕が執ることになった」
 
「ええっ!? そんな・・・・・大丈夫なん?」

ゲオルグのことを心配して声を掛けるはやてだったが、ゲオルグはそれに
返答することなく、画面の中で視線を慌ただしく動かす艦長に向かって話しかけた。

「艦長。 そちらで敵の砲撃の発射点は観測できていますか?」

『ん? そ
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