第三章
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淳司は目を瞬かせてだ、こう言った。
「あの、今だけれど」
「あの、これは」
「そっちの人女の人だよね」
真理子を見て言うのだった。
「一緒にホテル出たけれど」
「ええと、それは」
「若しかしてじゃなくて」
淳司は言うのだった。
「二人は」
「ううん、どうしよう」
流石にこの事態にはだった、真礼も言葉がない。それで困り果ててそのうえでだった、真理子に対して相談したのだった。
「こうなったら」
「こうなったらも何もね」
「ばれたわよね、私達のこと」
「言い逃れ出来ないわよ」
最早というのだ。
「こうなったらね」
「言うしかないわね」
「ええ、それじゃあね」
こうしてだった、真礼と真理子はだ。
淳司を近くの喫茶店に入れてだ、それでだった。
二人のことを話した、その話を聞いてだ。
淳司は自分の向かい側に座って俯いている自分の妻を見てだ、目を瞬かせてこう言った。
「僕って浮気されたのかな」
「ええと、それは」
「あのさ、相手が男の人ならね」
その時はとだ、淳司も言う。
「浮気になるよね」
「そうよね」
「けれど女同士だから」
それで、というのだ。
「これって浮気なのかな」
「どうなのかしら」
「浮気じゃないの?」
真礼に続いて真理子も言う。
「「前から言ってるけれど」
「そうなるかしら」
「だから旦那さんじゃないから、私」
「そうなるのね」
「いや、僕もさ」
淳司の方も言う、三人共コーヒーには手をつけていない。注文はしたが。
「その辺りはね」
「わからないのね」
「どうなるのかな、ただね」
「ただ?」
「男は僕だけだよね」
このことをだ、淳司は真礼に確認した。
「そうだね」
「ええ、そのことはね」
絶対にとだ、真礼は淳司に答えた。
「あなただけだから」
「そうだよね、真礼ちゃん嘘を言うと目が泳ぐけれど」
それがなのだ。
「全然ないから、今は」
「嘘は言わないわよ」
真礼もこう淳司に返す。
「特にこうした時はね」
「些細なことじゃないからね」
真礼はその日に食べたこと等については嘘を言う時もある、しかしそれでもこうした大事なことでは嘘を言わないのだ。
それでだ、淳司も言うのだ。
「だからね」
「うん、嘘は言ってないから」
それは絶対にというのだ、真礼も。
「実際にね」
「そうだね、それでだけれど」
再び真理子を見て言う淳司だった。
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