第五章
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「相手は不死身だ、倒すことは出来ない」
「ではどうすればいいのでしょうか」
「あの者だけでは止めることしか出来ない」
まさに、というのだ。
「一人ではな」
「一人では、ですか」
「そうだ、一人ではだ」
決して、とだ。クリュサオルは言うのだった。
「止められない」
「ではどうすればいいのでしょうか」
「一人では止められないのだ」
クリュサオルは再び言った。
「だからだ」
「若しや」
「私が行く、アルゴー号の今の場所は」
クリュサオルは目を鋭くさせた、海ならだった。
彼は海の神の一柱だ、あらゆる船の場所が瞬時にわかる。船が海にあるのならだ。それでアルゴー号の場所を把握してだ。
従者にだ、強い声で言った。
「今から行って来る」
「そうされるのですか」
「そうだ、そしてだ」
「エウペモス様をですね」
「助けに行って来る、今からな」
己の玉座、宮殿のそこから立ち上がってだった。彼はすぐに宮殿を後にした。そしてそこから海豚に乗って。
アルゴー号のところまで急行した、するとその後ろでだった。
海蛇が船を襲っていた、その海蛇とだった。
エウペモスは海に飛び込んだうえで闘っていた、他の英雄達はその彼を船の上から弓等で海蛇を射って援護している。だが。
船の上、揺れるそこから狙ってもそうそう当たらない。しかも当たってもだった。
「駄目だ、効かない」
「あの海蛇は不死身らしいな」
「倒すことは出来ない」
「忌々しいが」
英雄達は苦い顔で言うしかなかった。
「エウペモスに頼るしかない」
「ここはな」
「何とか退けてくれるか」
「あの怪物を」
「どうにかして」
「しかし」
それでもだった、エウペモスは健闘しているがだ。
その強さは互角だった、それで。
「ううむ、止めてくれているが」
「それが限界か」
「海の中では彼が一番強いが」
アルゴー号の英雄達の中でだ。
「それでもな」
「止めてくれているだけか」
「それ以上は出来ないな」
「我々も行くべきだが」
「しかし」
海蛇の従者の様にだ、船の周りに無数の頭が一つの海蛇達が出て来た。その彼等の相手もしなければならなくなっていた。
それでだ、エウペモスもだった。
彼だけで海蛇、百頭のそれを相手にしなければならなくなった。確かに彼は海の中で三叉の鉾を使い海蛇と互角だったが。
それでも止めているだけだった、それ以上は。
無理だった、しかも彼にも体力の限界が来ていた。このままでは。
「まずい、これでは」
体力が落ちた時に押し切られる、まさにその危機だった。だが。
ここでだ、彼の横にだった。
クリュサオルが来た、そして。
剣を抜いて海蛇と戦いはじめた、その彼を見てだった。
エウペモスは
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