暁 〜小説投稿サイト〜
世界を超える保持者とα
第二
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
し進んだところにある倒木。

ここまでくれば大丈夫でしょう、とカイルはその幹に腰を下ろし言った。

「このあたりの森や山はかなり入り組んでいて、管理が難しいんです。帝国の上層
部は軍事力に力を入れていますから、こんな面倒な物の管理を僕らの村に押し付け
たんです」

それなのに、とひと呼吸入れるカイル

「戦争が始まり、帝国は中立国であるアリアドネーに対してまで敵意を向けだしました。そこで、国境に砦を築こうとして、僕らの村を焼きに来たんです」

なるほど、とシャガルは頷いた。

シャガルの知る限りでも、村やなにかを戦争に用いる国は少なくはない。

『しかしなかなか。村を焼かれ父が死んでいるというのに』

確かに、カイルのそれは傍から見れば異常なほどに落ち着いていた

「俺から聞いておいてなんだが、大丈夫か?すこし休んだほうが」

いきなりのシャガルの言葉にカイルは、語りをやめ、少し何事かと考えた後に、そ
の意味を察し

「まぁ・・・確かに、悲しいですけど。村が戻ってくるわけでも、父が戻ってくるわけ
でもありませんから。僕には今、やるべきことがあります。そういうことですよ」

ふと、軽く笑ってみせ、カイルは言った

「しかし、これからどうしましょう。僕も然ることながら、あなたまで巻き込んで
しまいました。きっと帝国には戻れないでしょうね。少なくとも僕は、父と共に大
臣なんかと面識がありますから顔も素性も割れていますし」

今後の行動についてカイルは考え出した。

確かに、そのヘラス帝国という国の魔法使いをひとり殺し、そしてもう一人を逃が
してしまった時点で、ヘラス帝国というのはシャガルの敵になる。

いくらアルファがいても、明らかな不利と言う物はあるし、カイルは戦いには向か
ないのだろう。

少し思案していた時、ふと、先ほどのカイルの言葉を思い出した

「あのさ、ここは国境だって言ったよな?じゃぁ、もう一つの国に入国って出来な
いのか?」

「え?・・・あぁ、そうですね!それがいいです!なんせアリアドネーは―――」

学ぶ精神さえあれば、なんだって受け入れてくれますから!と、続けるカイル。

『学ぶ?』

「学ぶ?」

思わず、ハモっていた

「そうです。アリアドネーは学園国家。魔法や算学など、学ぶ意思のあるものは居
住権を与えられます」

「魔法を学ぶ、か。俺はこの世界の魔法を知らないし、ちょうどいいかもしれん
な」

『我も興味がある。そこへ行こう』

シャガルたちの意見としては、完全に一致であった。

「僕も、アリアドネーには少しツテがありますし、そうしましょう。」

ただ・・・と少し歯切れ悪くカイルが言う

「国境
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ