第一章
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目的は不純だった
ブエノスアイレスにいる少年ホセ=リベラはある日だ、自分の家で両親にこんなことを言い出した。
「俺サッカーしてみるよ」
「へえ、何でだ?」
「何でするの?」
「何でってサッカー選手になって有名になったらな」
こう両親に言うのだった。
「金持ちになれてしかも女の子にもてもてだろ」
「おいおい、女の子にもてたいのか?」
「だからサッカーはじめるの」
「ああ、そうだよ」
それでだというのだ。
「俺女の子にもてたいんだよ」
「だからはじめるのか」
「サッカーを」
「駄目か?」
「いや、別にな」
「サッカーはね」
サッカーをすること自体はだと答えた二人だった。
「ボールとスパイクだけがあれば出来るからな」
「お金もかからないし」
「それに皆やってるしな」
「別にいいと思うわ」
こう答えたのだった、両親も。
「それにスポーツはいい」
「身体を動かすし」
「スポーツマンシップも学べる」
「悪いことはないわ」
「けれど」
ここでだ、両親の声がハモった、そのうえでホセに言うのだった。
「女の子にもてたいからか」
「だからサッカーするの、あんた」
「それはちょっとな」
「ないんじゃないの?」
「いや、だって本当にそう思うからさ」
何も隠さずに答える彼だった。
「もてたいって。女の子に」
「マラドーナみたいにか」
「女の子にきゃーーきゃーー言われたいのね」
現役時代の彼が女の子達からどれだけ人気があったのか言うまでもない、何しろアルゼンチンの英雄だったからだ。
「それでか」
「サッカーしたいの」
「ああ、もてもてになりたいんだよ」
やはり赤裸々に答えるホセだった。
「それこそいつも周りに可愛い娘が何人もいる位にな」
「全く、サッカーをすることはいいことだが」
「物凄く酷い動機ね」
「もてたいからサッカーをするなんてな」
「どうなのよ」
「けれどサッカーはするよ」
することはするというのだ。
「ちゃんとさ」
「もてる為にか」
「それはなのね」
「ああ、するよ。いいよな」
「まあな」
「反対する理由はないわ」
その動機には呆れながらも答えた両親だった、そしてだった。
ホセはサッカーをはじめた、最初は下手だった。
だが、だ。彼には目的があった。これ以上はないまでにはっきりとした目的がだ。
「もてたいんだよ、俺は」
女の子にだ、いつもそう思っているからだ。
彼は熱心に練習をして自主トレにも励んだ、そしてサッカーの勉強にも励んだ。試合の運び方や相手の動きへの対処等も。
そうしてだ、彼はチームでめきめきと実力をあげてだった。
やがてチームでレギュラーになった、すると。
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