番外編
その6 ロード・バロン
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
湊が戒斗と共に向かった古い病院の奥の一室で、戦極凌馬は悠々とソファーに座っていた。
戒斗が凌馬の座るデスクを叩いて凄んだ。
「舞に何をしようとした」
「舞君の体に宿った黄金の果実を摘出しようとした。キミのお仲間に邪魔されてしまったけどね。すぐに戻らざるをえないと、コドモの頭でも分かるはずだ。だからこうして、舞君が戻って来るのを待ってるってわけ」
「そんなことを許す俺たちだと思うか」
戒斗の言う通りだ。凌馬に任せていては、黄金の果実を摘出するために舞を殺しかねない。目的のために手段を選ばない。
それが戦極凌馬という男だ。
今とて、舞が目の前にいれば、一切の麻酔なしに体をメスで切り刻み、黄金の果実だけをむしり取るくらいはしてもおかしくない。湊はそれを、部下としての長い付き合いから知っていた。
戒斗が湊を向く。湊は肯き返した。
――この男を舞の下へ行かせない。最後の手段に訴えてでも。
(それを戒斗が望むなら、どこまでだって付き合うわよ)
湊はゲネシスドライバーを、戒斗はレモンのエナジーロックシードを同時に構えた。
「こうも馬鹿ばかりだと世界が滅びるのも当然だな」
すると凌馬は懐から小さなリモコンを出してスイッチを押した。途端に、湊たちのゲネシスドライバーが火花を上げて床に落ちた。壊れたのだ。
「湊君なら気づいてもよかったろうに。いかにも私のやりそうなことだろう?」
凌馬の言う通りだ。うかつだった。湊は凌馬やシドと結託していたが、そこに仲間の情などなかった。邪魔者の排除が終われば、次の「邪魔者」はお互い同士。それを凌馬が見越していないわけがなかったのに。
忸怩たる思いに、湊は拳を握りしめた。
「ならば」
戒斗が出したのは戦極ドライバー。戒斗はそのバックルにバナナの錠前を開錠してセットした。戒斗がバロンに変身する。
『舞の下へは行かせない』
「ナイト気取りかい。面白いじゃないか」
凌馬は立ち上がり、自らのゲネシスドライバーとレモンのエナジーロックシードを開錠し、バックルにセットした。
「変身」
《 レモンエナジーアームズ ファイト・パワー ファイト・パワー ファイ・ファイ・ファイ・ファイ ファ・ファ・ファ・ファ・ファイト 》
青いマントとレモンの鎧が凌馬を覆い、デュークへと変身させた。
戦極ドライバーとゲネシスドライバー、その性能差は歴然としている。それでも湊には、戒斗も凌馬もどちらも止められない。
診察室内で乱闘を始め、もつれ合いながら外へと出て行った二人を、湊は急いで追った。
バロンとデュークの乱闘は、屋外の巨大コインパーキングまで雪崩れ込んだ。
湊が追いついた時
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ