紗矢華相手です
[1/6]
前書き [1]次 最後 [2]次話
明人が絃神島を揺るがす大事件に巻き込まれたことを、姫柊雪菜から煌坂紗矢華は聞いた。
暁古城と共に事件解決へと赴き、事件の首謀者と決闘するものの―――明人は重傷を負って意識不明状態が続いているらしい。
紗矢華は丁度その時、絃神島を訪れていた。
内緒でこっそり、サプライズでもして雪菜たちを驚かせようとした算段だったのだが。
それが幸いとなって、雪菜の呼び掛けに即座に応じることは出来た。
MAR医療部門の専門医者たちの手によって、何とか一命は取り留めたものの―――意識は依然として回復しないままだと言う。
病室の一室に運び込まれて、様々な機器やケーブルに繋げられた明人は―――まるで死んだかのように目を開かない。
呼吸もしている。脈も心臓も、鼓動を鳴らしている。けれど、その目は開かないまま。
明人の眠る病室の近くの廊下にて。
他の病人や看護師に迷惑にならないように声をひそめて、紗矢華は状況を確認していく。
「……そんなことがあったのね。」
「はい。申し訳ありません、私たちがついていながら。」
「姫柊のせいじゃあないって。」
「暁古城の言う通りよ。雪菜は悪くないわ、悪いのは牢獄行きになった犯人よ。」
雪菜の自責を否定する古城と紗矢華。
それに雪菜は微笑み、自分の事を支えようとする二人に応える。
「……紗矢華さん、明人さんをお願いできますか?」
「えっ、でも雪菜たちは?」
「アイツには協力者がいた。捕まったのは相方で、もう一人はまだ逃亡中だ。奴を止めないとまだ犠牲は出続けるはずだ。」
曰く、事件の首謀者はもう一人残っていた事実。
敵の追跡よりも、明人の命を優先した結果が今に至るらしい。
3対2の激闘の末、敵は依然として逃亡中。
教師である南宮那月に追わせているものの、一人で完遂出来るか分からない程の手練れだと言う。
「なので紗矢華さん、一緒にいてあげてください。明人さんも、きっと紗矢華さんが傍に居てくれることを望んでいるはずです。」
古城に続いた雪菜の言葉に、紗矢華は首を傾げる。
命に別状はない意識不明とは言え、やはり専門の医者が傍に居た方が後々良くなることだろうに。
そう考えた紗矢華の疑問に答えるように、古城は言う。
「だってお前、明人のこと気になり過ぎて戦闘に集中できない時があった、って姫柊から聞いたぞ。」
「なっ!? そ、そんな訳ないでしょう!!」
「紗矢華さん、病院。」
「あ、ごめん。」
思わず叫んでしまった紗矢華を、冷ややかな視線で雪菜は注意する。
古城の言葉を聞いて、紗矢華は雪菜の言いたかった真意を悟ってしま
前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ