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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
彼は誰時
序章
00話 黄泉路
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救いを求める者たちを切り捨てる―――誤魔化しはしない、(オレ)を怨みたければ恨むがいい。諸兄の家族友人をBETAへの供物としたのは己だ。』


 漆黒の機体に黄昏色の光が全身に灯る。跳躍ユニットのターボファンエンジンが回転数をあげ唸り声を上げる。
 機体の駆け巡る鋼鉄の血管を電気が駆け巡り、炭素複合繊維の人工筋肉が収縮し巨人の躰を駆動させた。

 大地を揺らしながら、闇色の機体が嵐の中に立つ。
 BETAの進軍速度を大陸で嫌というほど見て来た自分は、補給拠点としての四国よりもこのまま首都へBETAが直進する危険の方が被害が大きいと判断したのだ。

 大阪・神戸・京都は人口密度が四国の比ではない―――日本が誇る最大の資源、人材が失われ日本が先進国としての地位に返り咲く事すらできなくなる危険を危惧したのだ。


『だが諸兄、自ら捨てたものを浅ましく拾おうとしている俺を赦してほしい。―――我々はインターの爆破後、市民の退避を援護すべく遊撃戦闘を行う!!』


 張りつめた空気が一気に反転した。


『――行きましょう隊長!』
『斯衛の矜持、マスコミ(ハイエナ)どもに見せつけてやりましょう!!!』
『将軍家を守り、臣民の盾となるのが我ら斯衛の責務、隊長は間違って居ません!!』


 各々、白の瑞鶴たちが続き立ち上がり今か今かと飛び立たんとする。
 民間人と帝国軍、そしてBETAが入り乱れる戦場では戦術機は全力を出せない――この部隊も多くが戻る事は無いだろう。

 突撃砲では誤射の可能性に加え暴風により弾道が逸れて民間人に当たる危険がある―――長刀と短刀だけで戦わねばならない。戦域展開が予想されていなかった為、兵装コンテナは無く。暴風により機動制御にも支障を来す。

 生き残れたら奇跡と言っていいレベルだ―――だが、之だけの困難な任を大量の犠牲と共に果たしたとしても、その労が日の目を見ることは決して無い。

 マスコミの偏向報道が、斯衛の挺身を、武士たちの戦いを無かったモノとして扱うからだ。
 彼らにとって斯衛とは時代錯誤の狂信者集団であり、階級制度に胡坐を書いた叩くべき悪で無くてはならないのだ―――そのノブリス・オブリージュは邪魔でしかないのだ。

 報道しない自由とはかくも便利で吐き気を催す無法に他ならない。



『――諸兄の挺身に感謝する。我らの死闘はマスゴミと国内左翼の下劣な策略により照らされることは無いだろう……だからこそ、我らは戦わねばならない。
 例え、マスコミ(ハイエナ)どもが我々の存在を無かったモノとして扱おうと、我々が”救った命”が我々の誇りを取り戻してくれると信じて……我々が守った命が日本を取り戻すと信じて―――全機着剣!!!』

 全瑞鶴が一斉にその背に背負った
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