第三十七話 先輩後輩
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顔をして、そんなことを言ってきた。
アクセル「そうかな。自分じゃ分かんないけど」
ルイン「痩せたよ。……それに、何となく顔色もよくないみたい」
アクセル「えー?別に体調は悪くないし元気だよ?」
忙しくても睡眠はちゃんととるし、食事だって三食きっちり食べてる。
だから、体調を崩したりする理由はないはず。
そう言ったら、ルインは困ったような顔をする。
ルイン「うん、身体は元気なんだろうけど。……でも、あの、こんなこと言っちゃうの、傷口を刔っちゃうみたいだし、本当はよくないかもしれないけど」
ルインはいつも言いたいことははっきり言うタイプだ。
それなのに妙に躊躇しているから、らしくないなと思いながら、アクセルは首を傾げて次の言葉を待った。
しばらくして、ルインが意を決したように顔をあげる。
ルイン「……あのね、アクセル。……あれから……レッドアラートとの戦いが終わってから、1回でも、泣いた?」
アクセル「……は?」
ルイン「私、アクセルが泣いているところを見たことないよ?」
アクセル「…泣く理由がないじゃない」
ルイン「レッドのこと寂しくないの?」
そう、ルインが聞いてきたけれど、寂しくないわけじゃない。
寂しくないわけがない。
ルインの言葉がどこか責めるような響きに感じたのは、自分の心がどこかで泣かない自分を責めているからかもしれない。
アクセル「泣かないよ。……だって僕は、自分の心に従ってレッドアラートから抜けてイレギュラーハンターを目指すんだ。ただでさえ迷惑かけてるのに、これ以上我が儘言えないよ」
ルイン「そんなの……そんなの間違ってるよ、アクセル!!」
アクセル「え……?」
普段はエックスと同じくらい温厚で滅多に声を荒げないルインが、怒ったような顔でアクセルを見ていた。
ルイン「寂しい時に寂しいって泣くのと、我が儘を言うのは似ているようで全然違うよ。みんなのためって分かってたって、大好きな人に会えないのは寂しいんだから、泣いたっていいじゃない。……ううん、せっかく泣けるのに、泣かないなんて損だよ。それにこのまま我慢ばかりしてたら、アクセルが壊れちゃいそうだよ……」
アクセル「……我慢なんてしてない…」
まるで、自分のことみたいに真剣になってくれるルイン。
ああ、こんなに優しい人だから英雄に、そしてエックスと隣に立てたんだなって、今更ながらに思った。
ルイン「泣いても、いいんだよ。アクセル」
繰り返して言われて、心の奥底で閉じ込めてた気持ちが動き出す。
本当は泣きたかった。
しかしそれを無理矢理押さえ込んでただけで。
ルインの言葉が後押しになって溢れてきた涙は、こらえようと思っても、後から後から流れてくる。
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