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第二章

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「是非」
「そうですよね」
「はい、もうこの街でのことは忘れて」
 もっと言えば彼のことをだ、全て忘れてだった。
「そうしたいです」
「そうですね、生きているからには楽しく過ごさないと」
「駄目ですね」
「損ですよ」
 ここでこの言葉が出て来た。
「そうしないと」
「どうも私は悲しく考える性分で」
「それは駄目ですよ、もっと」
「明るく楽しくですね」
「そうして生きるべきですよ」
 駅員さんは私に正論を述べてきた、話を聞いて実際にそう思った。
「絶対に」
「絶対にですか」
「悲しんでいたら辛いですよね」
「はい、とても」
「それなら明るくですよ」
 そして楽しくだというのだ。
「そうして生きないと駄目ですよ」
「何としてもですね」
「そうです、別の場所でも」
 私がこれから向かう新しい街でもだというのだ。
「そうして過ごされないと」
「駄目ですね」
「あと少しで電車が来ます」
 この街を出るそれがというのだ。
「それに乗られたら笑顔で」
「笑顔で乗ってですね」
「新しい街に向かわれて下さい」
「そうですね、そうあるべきですね」
 私も駅員さんの言葉に頷いた、お話を聞いているうちにその通りだと思ったからだ。だから私も駅員さんに話した。
「新しい街では」
「では約束してくれますか」
「約束?」
「電車に乗られる時は」
 その時はというのだ。
「笑顔で乗って下さいね」
「そうしてこの街をですね」
「はい、そして」
 そのうえでだというのだ。
「新しい街に向かわれて下さい」
「笑顔ですね」
「どんなことがあっても最後は笑顔なら」
 例えそれが作ったものでもだというのだ。
「この街での思い出は全部いいものになりますから」
「笑顔がそうさせてくれるのですね」
「ですから」
 是非共だというのだ。
「そうされて下さい」
「ではですね」
「笑顔で」
 あくまでだ、そうなって欲しいという言葉だった。
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