第二章
[8]前話 [2]次話
「是非」
「そうですよね」
「はい、もうこの街でのことは忘れて」
もっと言えば彼のことをだ、全て忘れてだった。
「そうしたいです」
「そうですね、生きているからには楽しく過ごさないと」
「駄目ですね」
「損ですよ」
ここでこの言葉が出て来た。
「そうしないと」
「どうも私は悲しく考える性分で」
「それは駄目ですよ、もっと」
「明るく楽しくですね」
「そうして生きるべきですよ」
駅員さんは私に正論を述べてきた、話を聞いて実際にそう思った。
「絶対に」
「絶対にですか」
「悲しんでいたら辛いですよね」
「はい、とても」
「それなら明るくですよ」
そして楽しくだというのだ。
「そうして生きないと駄目ですよ」
「何としてもですね」
「そうです、別の場所でも」
私がこれから向かう新しい街でもだというのだ。
「そうして過ごされないと」
「駄目ですね」
「あと少しで電車が来ます」
この街を出るそれがというのだ。
「それに乗られたら笑顔で」
「笑顔で乗ってですね」
「新しい街に向かわれて下さい」
「そうですね、そうあるべきですね」
私も駅員さんの言葉に頷いた、お話を聞いているうちにその通りだと思ったからだ。だから私も駅員さんに話した。
「新しい街では」
「では約束してくれますか」
「約束?」
「電車に乗られる時は」
その時はというのだ。
「笑顔で乗って下さいね」
「そうしてこの街をですね」
「はい、そして」
そのうえでだというのだ。
「新しい街に向かわれて下さい」
「笑顔ですね」
「どんなことがあっても最後は笑顔なら」
例えそれが作ったものでもだというのだ。
「この街での思い出は全部いいものになりますから」
「笑顔がそうさせてくれるのですね」
「ですから」
是非共だというのだ。
「そうされて下さい」
「ではですね」
「笑顔で」
あくまでだ、そうなって欲しいという言葉だった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ