第二章
[8]前話 [2]次話
「スイスよね」
「だからフォンデュもね」
それもだった。
「美味しいんだよ」
「雰囲気からでも」
「夏は夏でソーセージとか出してくれるよ」
「ソーセージなの」
「ここドイツ料理もやってるから」
スイス料理だけでなく、というのだ。
「それも美味しいんだ」
「ソーセージね」
「ビールもね」
ソーセージとくればだった、まあに。
「そっちもあるから」
「そうなのね、じゃあ夏もね」
「来ようね」
「ええ、けれど今はね」
ドイツ料理でなくだった、とにかく十一月で寒くなってきたから。
「フォンデュよ」
「やっぱりそれだよね」
「それを食べてね」
温まりたい、心からそう思っていた。
「そうしましょう」
「それじゃあね。それにね」
私達は店の中にいる、まだ座っていなくてお店の中の席を探している。丁渡いい席を見付けたところでだ。
お店の窓の外を見てだ、こう彼に言った。
「お天気がね」
「悪いね」
「若し雨が降ったら」
私は心配を露わにして言った。
「もっと寒くなるじゃない」
「それも嫌なんだね」
「ええ、そうよ」
困った顔になって俊朗君に言った。
「雨はね」
「冬に雨が降ったら暖かいよ」
「気温はね。けれどね」
「水だから」
「その分寒くなるし濡れたら」
余計にとだ、私は言うのだった。
「余計に嫌だから」
「ううん、じゃあ降らないうちに」
「食べましょう」
「それじゃあね」
こう話してだ、そしてだった。
私達は二人で向かい合って座ってチーズフォンデュを注文した。そして二人でお鍋の中の煮えているチーズの中にパンやソーセージを入れながら食べた。それとワインも忘れなかった。
フォンデュだけでなくワインも食べてだ、私達は身体が温まった。それで私は顔が赤くなってきているのを感じながら言った。
「温まってきたわ」
「それは何よりだね」
「やっぱり寒くなるとね」
「こうした熱いものを食べて」
「お酒もね」
「ワインとか日本酒とか焼酎だよね」
「ビールは好きだけれど」
それでもだった。
「冬はね」
「冷えるからね、ビールは」
「ええ、だからね」
それでだった。
「冬はあまり飲まないの」
「それで普段飲むものも」
「温かいものなの」
ホットティーやホットコーヒーだ。
「そうしたの飲むの」
「徹底してるね」
「だから寒いことは苦手だから」
本当にこのことに尽きた、私は。
「気をつけてるの」
「そういうことだね」
「そう、とにかく冷え性だから」
「今もズボンだしね」
「ズボンの下にストッキング履いてるわよ」
上も下着の上にシャツ、そしてセーターとオーバーだ。分厚い手袋も忘れていない。十一月のはじめだけれど。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ