二心同体の愚者
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ここは一体?」
「へえ、ここが先生の部屋なんだ。広くていいところだね。ここは先生の『心象世界』なんだって。あの人に頼んでやってもらったんだ」
「俺の心象世界…いや、そんなことより、お前、あいつになにを言ったんだ?」
「先生と一緒にいる為の方法だよ。それ以上は教えてあげない」
「なっ!ふざけてる場合じゃないんだ。教えろ!」
激昂する透真だが、透夜も頑迷である。
「嫌だ!教えたら先生は絶対とめるだろうし、自分を犠牲にしようとするから」
「俺はすでに死んでいる人間なんだ。だから、お前を生かす為に犠牲なれるなら、これ以上嬉しいことはないんだ。分かってくれ」
「駄目だよ。先生は最後まで僕と一緒って言ったじゃないか!
それにしても、先生は本当に僕なんだね。誕生日もお父さんもお母さんも一緒だ」
透真の心象世界から記憶を垣間見たらしく、そんなことを言ってくる透夜。
「ああ、だから最初はお前に生まれかわったのかと思ったよ」
「転生っていうんだよね?不思議と僕もここが懐かしいし、心地いい。やっぱり、先生は僕なんだ」
「よく知っているな。そうか、そう言ってもらえるのは嬉しい。俺もお前の中は心地よかったぞ。もしかするとそれも俺がお前であると言うことの証左なのかもしれないな」
「先生は僕?」
「ああ、俺はお前だ。だからこそ、お前には幸せになって欲しい」
「なら僕の幸せは先生の幸せ?」
「そうだ、俺の幸せはお前の幸せだ」
「そうだよね、ならやっぱり僕と先生は二人で一人なんだ」
「そうだな。でも…」
「でもはいらないよ、先生。先生と僕はずっと一緒だよ。もう言質はとったからね」
「これは一本とられたな。それにしてもやけに賢くなってないか?」
「先生の心象世界に入ってからは、先生の記憶や思いを吸収して話してるからね。僕は先生でもあるんだから当然でしょ」
「そりゃあカンニングだろ。卑怯にも程がある」
「ふふふ、ごめんね先生。でも、ありがとう。先生がどんな思いで僕を見てきたのか、先生がどれだけ僕を大切に思ってくれていたのか分かったよ。うん、だからは悔いは全くないや」
「悔いだと?透夜、お前は一体何をしたんだ?」
「ごめんね、先生。もう、全部終わっちゃったんだ。もう、なかったことにはできないし、後の祭りだよ。だから忘れないで。僕は先生と最後まで一緒だよ。先生は僕で、僕は先生だ。先生の幸せは僕の幸せだから」
「待て、透夜」
次の瞬間、止める声もむなしく、透真は己の心象世界から追い出された。
「ごめん、ごめんなさい先生。僕はもうあんな現実を一人で生きていたくないんだ。先生
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