二心同体の愚者
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。『ワイルド』という超常の例外を除けば、この世界では単一のペルソナしか使えないからだ。さらに『PERSONA3』の外伝的なアニメのことを考えれば、大人になってその能力を失ってしまう可能性もある。そこをいくと、『PERSONA』『PERSONA2』の方が、レベルこそ上がらないが、複数のペルソナを使いこなせるし、大人になっても失う危険性はない。これは己を報酬とするのに十分すぎる対価だった。
「分かった。それじゃあ俺を報酬に透「嫌だ!」夜……透夜?」
透夜を戻してくれと言おうとした透真の言葉を、透夜が遮る。
「嫌だ、一人は嫌だ。先生も僕をおいていくの?お父さんやお母さんみたいに…」
「透夜、それは違う。離れていても俺達は一緒だ。どんなに離れても俺の心はお前とともにある」
「話しかけたら、今までみたいに応えてくれるの?違うんでしょ?それじゃあ、いないのと一緒じゃないか!」
「透夜……。俺はお前に生きていて欲しいんだ」
「嫌だ、先生も一緒じゃなきゃ嫌だ!あんな怖いめにあう地獄みたいなところに一人で戻りたくない!一人は寂しいよ…」
「……」
泣き叫ぶ透夜に透真は言葉もなかった。透夜の生は辛いことが多すぎたからだ。透真にはなかった両親の早世、唯一の血縁たる叔父の裏切りと実験体として桐条に売り渡されこと。そして、極めつけは現状の危機である迫りくるシャドウによる死の運命。5歳になったばかりの幼子には過酷過ぎる人生であった。
それでも、なお透夜が狂わず心を壊すこともなかったのは、透真という無二の存在があったからだ。孤独ではないと言うことが、どれだけ救いになったのか、それは透真にすら分からぬ、透夜だけにしか理解できなきないものであった。
「言い争うのは勝手だが、早く決めろ。私も暇ではないのでな」
「二人一緒に戻るっていうのは駄目なの?」
「駄目だ。奴なら許したかもしれんが、私は許さん。『ペルソナ』をくれてやる以上、対価はもらう。どうしても嫌だと言うなら、『ペルソナ』なしで戻り、二人一緒に諦めて潔く死ね」
「あんたならそうだろうな。な、分かったろ。『ペルソナ』を手に入れ、お前が戻るんだ。俺のことは気にしなくていい。俺はお前に生きていて欲しいんだ」
「先生がそうであるように僕だってそうなんだよ!それに一人は絶対に嫌だ!
そういえば、『ペルソナ』ってなんなの?」
「ふむ。『ペルソナ』とは心の奥底から、『悪魔のような自分』『神のような自分』等の『もう一人の自分』を呼び出し具現化する異能だ。貴様らの命を奪おうとしていた程度の存在なら、容易に滅ぼせる地力だ」
「もう一人の自分…先生は確か…」
『ペルソナ』について聞き、考え込む透夜。とても5歳
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