第10話〜とある美術部員の一日〜
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けてくるので、
いつもこんな感じかなあと。この間だって面白そうだからって互いに入れ替わって部活をしましたし」
「ふむ、それは知らなかったな」
「ああ、オレも気が付かなかった」
「ふ、二人ともひどいですよ!気づいてくれてると思って言わなかったのに・・・」
アレスとガイウスに抗議するリンデ。アレスは私にどうしろと言うのだと思うが、看破できなかったこちらに非があるような気もしたので、次からは見破って見せようと約束した。そして再び筆を取り、絵を細部まで完成させ、クララ部長もクマの彫刻が完成したらしい。サモーナを咥えて仁王立ちしているその彫刻は、かなり精巧な作りであり、アレスの目を引き付けて離さない程の魅力的な芸術品だった。
「どうした?そんなに欲しければくれてやる」
「・・・本当に宜しいのですか?先ほど制作されたばかりでは?」
「芸術の真価は完成した瞬間にある。完成品はそれを分かるやつが見ればいいのだ。
必要以上に手元に置いておく趣味などない」
「そういうものでしょうか?」
「お前もじきに分かるようになる」
どうやら彼女は、全身全霊を賭けて作成したものでも、完成した途端に興が覚めるようだ。
クララの言い分に賛同はしかねるが、了承し、クマの彫刻品は後でアレスの部屋に置かれることになった。
(生粋の芸術家は皆、部長の様な境地に至るということか。達観しているな)
(それは・・・さすがに違うのではないだろうか?)
アレスは芸術家に対する考え方が少し変わったようだ。それが良い方向であるかは不明だがそれはさておく。その後、全員の作品が完成したところで時刻は昼を回る。
クララの指示で今日は解散となり、美術部の面々と別れたアレスは、トリスタの街へと戻ることにした。第3学生寮に戻り、貰った彫刻品を机上の空きスペースに飾っておく。
基本的に自炊を心がけている彼は、食材の買い置きが少なくなっていたのを思い出し、雑貨店へ行こうとした。しかし、ケインとマキアスが店の向かい側にあるカフェのオープンテラスで何やら話し合っているのを見かけてそちらに加わることに。
「丁度良かった。アレスに訊きたいことがあったんだ」
「そうか。私に答えられることならば何でも構わないが」
「君は、貴族についてどう考えている?」
貴族に対する嫌悪感がはびこるマキアスは、未だにユーシスとの不仲が続き、結果として彼とは戦術リンクが繋げない状態だ。更に言えば、リィンに貴族であることを明かされ、彼への態度も険しくなってしまっている。それらに対して思うところがあるのだろう。
「初めに言うが、私は貴族制度など不要だと考えている」
「そうだったのか・・・随分と珍しいな」
「そうかもしれない。だが、貴族とて家
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