何を捨ててでも掴んであげる
[6/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「希くは、“星竜の巫女”シャロンに竜殺しの加護があらん事を!」
耳を疑う。
今目の前で狂気に取り憑かれたように笑う女は、何と言った?
「星竜の…巫女?お前が?」
ルーが呟く。その声が震えているのに、全員が気づいた。
シャロンが星竜の巫女ならば、それはナツ達にとっては厄介でどうしようもない。パラゴーネの言う通りなら、巫女はその気にさえなれば世界の破滅さえも願える。
「あ……」
言葉にならない声を静かに零したのはグレイだった。
思い出したのだ、弟子を自称するあの少女の言葉を。星竜の巫女について尋ねた時、彼女は何と言った?願う力に関する事じゃない。
思い出したのは、星竜の巫女の人数。願える人数を、パラゴーネはこう言っていたはずだ。
―――――お前には願えない。私にも不可能だし、それが可能なのは現在2人だけだ。
2人。
1人はティアだ、それは間違いない。だから彼女は帰って来るように言われていたのだから。
だとしたら、もう1人は?
「まさかっ……!」
「ようやく気付いたようね」
青い光がシャロンの背後に現れる。
ふわり、と降り注ぐ青い光がシャロンを包み込み、その手から金色の光が溢れ始めた。見覚えがあるのか、ナツとエルザが目を見開く。
「私は星竜の巫女シャロン!一族の敵は、当主である私が消す!」
叫んだと同時に、金色の光の雨が降り注ぐ。
煌めく光に目が眩んだナツ達は、顔を背ける事しか出来なかった。
【望みを叶えよう、我が巫女よ。一族思いの仮面を、いつまで被っていられるものか……】
そんな軽やかな声が、どこかで聞こえた気がした。
その光は、こちらからも見えた。
遠くの方で突然瞬いた光に、ウェンディ達は反射的に本宅の方を向く。一瞬瞬いてすぐに消えた光の正体はここからは解らず、彼等は顔を見合わせた。
「今のは…?」
「ナツ達の魔法、じゃないよね」
首を傾げるココロに、レビィが呟く。カトレーンの事情に詳しいであろうスバルとヒルダも不思議そうに本宅の方を見つめている。
「……お祖母様だ…いや、シャロンと呼んじまうか」
クロノが呟いた。
全員の視線が一気に集中したのに気づいたクロノは上半身を起こすと、小さく舌打ちをする。苛立つように青い髪をかきあげて、はっきりとした口調で。
「同じなのにティアを忌み嫌ってた、オレの知る限りで誰よりも最低最悪の女だよ」
一瞬だった。
シャロンの一撃はナツ達を一瞬で傷だらけにし、地に倒れさせる。
「まだ生きてるのね。害虫が無駄にしぶといのはお約束か
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ