何を捨ててでも掴んであげる
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放つ高速斬撃に、弾切れという概念が存在しない炎の矢の雨が降り注ぐ。
アルカの支配下にある炎の矢はエルザの攻撃の邪魔にならない範囲で攻撃を繰り返し、もちろんエルザには一撃も当たらない。
エルザの攻撃を両手に持つ短剣で可能な限り防ぎつつ、アルカの矢を最低限の動きで回避する。戦いに関しての動きが俊敏なのはティアと同じだ。
が、そんなの問題ない。咄嗟の判断力はシャロンが上だが、彼女にはティアのようなスピードがない。いくら判断出来てもそれに追いつくスピードがなければ回避は出来ない。そして、ティアの戦闘を何度も見て、共に戦ってきたナツ達にとってはこんなの見慣れた光景だ。
「アイスメイク “槍騎兵”!」
ガラ空きの背中を、グレイの氷の槍が狙う。それを視界に捉えたアルカは槍に触れないよう、矢の動きの流れを少し変えた。
エルザの高速斬撃にアルカが放つ炎の矢、グレイの氷の槍が四方八方からシャロンを狙う。短剣で斬撃を防げば後方から氷が直撃し、そちらに意識を持っていけば炎が降り注ぐ。かといって炎に集中すれば剣に斬りつけられる。それに気付いたシャロンは、僅かに表情を歪めた。
「大空治癒!……さてルーシィ、僕達も行くよっ!」
「うん!」
ナツに回復魔法をかけたルーは、左手に魔力を集中させる。先に動いたのは目を向ける事なく、触れただけで求める鍵を見つけ構えたルーシィだった。
「開け、天蝎宮の扉!スコーピオン!」
「ウィーアーッ!」
キンコーン、と鐘の鳴る音を響かせながら現れたのは、口元に自信たっぷりの笑みを浮かべサソリの尻尾を模した銃を振り上げる男―――スコーピオン。
チャラそうでテンション高めな宝瓶宮のアクエリアスの彼氏は、所有者であるルーシィに目を向ける。
「オレっちの出番かい?」
「そう、狙いはシャロン……あの青い髪の女よ!」
「OK!オレっちに任せな!」
そう言ってウインクを決めるスコーピオンは、自分の体ほどもある尻尾の先をシャロンに向けた。大きな銃であるその尻尾の先に魔力が集中し、スコーピオンが吼える。
「サンドバスター!」
尻尾の先の銃口から、勢いよく砂が噴き出した。滅竜魔導士の咆哮のようなそれは、シャロンに攻撃を加えるナツ達をも巻き込みそうな勢いと大きさのまま放たれる。
が、もちろんナツ達に攻撃する気はない。ルーシィがスコーピオンを選んだのはこの可能性を考えての結果であって、対処法だって当然用意している。
「大空風流!」
ルーが、風の流れを操る。
それによってスコーピオンのサンドバスターは蛇のような動きでナツ達を避け、シャロンに直撃した。飛び散る砂もルーによってナツ達の邪魔にならない範囲に落ちる。
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