何を捨ててでも掴んであげる
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ズ)でも壊せない窓とは…。
「ハッピー、あの窓まで飛べるか?ティアと話せるようならすぐに助けると伝えてほしい」
「解った!ちょっと待ってて!」
エルザに言われたハッピーは頷くと、一気に窓まで飛ぶ。
窓の前で何やら身振り手振りで話すハッピーは暫くして窓にくっつくんじゃないかという程に近づくと、少し離れて「あい!」と頷いた。
そのまま戻ってきたハッピーは、翼を消しつつ口を開く。
「オイラの声は聞こえるっぽかったんだけど、ティアの声は聞こえなかった。だからティア、持ってた手帳に言いたい事書いてくれたよ」
「それで、ティアは何て言ってた?」
「“窓は壊れないし扉は鍵かかってるし、力づくでどうにも出来ないんだけど!”だって」
「……なんか、ティアらしいね」
こんな状況ながら、少し安心する。もし辛い思いをしていたらと考える必要はなかったようだ。
きっと苛立ちを隠せてないんだろうな、と考えつつ、ナツ達は“星詠みの間”を目指そうと屋敷の入り口に目を向ける。
「!」
そこに、あの女が立っていた。
白髪交じりの青い髪の女性。ティアとクロス、クロノの祖母でありカトレーン現当主のシャロン=T=カトレーン。
こちらを鋭く睨む目は髪と同色で、ナツ達にとっては見慣れた色で、それでもその色は見慣れたそれより冷たい。
「ここまで来たのね」
「当たり前だろ」
低い呟きに、ナツが答える。
右拳に炎が纏われるのを、シャロンはチラリと一瞥した。それでも、彼女は構えの1つも取らない。
「あんな出来損ないの為に、そこまでする必要があるの?」
「お前にとって出来損ないでも、オレ達にとっては違う」
ルーシィが鍵の束に手を伸ばす。グレイが造形魔法の構えを取る。エルザが飛翔の鎧に換装し、ルーが補助系魔法の詠唱を始め、アルカが攻撃用の詠唱を始める。
唯一戦闘系魔法が使えないハッピーも、近くに落ちていた木の枝を掴んで構えた。
溢れ出る怒りを炎へと変え、ナツは呟く。
「アイツは仲間だ。それ以外の何でもねえ」
「何なのよ、もう……」
何回目になるか解らない溜息をつき、ティアは少し痛み始めた右足を下ろした。先ほどの部屋の窓はあんなにあっさり割れたのに、と呟きつつ、外に目を向ける。
そこには恐怖の対象である祖母と、ギルドのメンバー達。本当ならティアが立っているべきである祖母の前にいるのは、彼等だった。
右拳に炎を纏うナツ、金色の鍵を構えるルーシィ、当然のように上半身裸のグレイ、飛翔の鎧を纏うエルザ、木の枝を持つハッピー、全員に攻撃力と速度上昇の補助魔法をかけるルー、詠唱を終えたのか炎の円盤を構えるアルカ。
(こんな事言いたくも思いたくもないけど、勝てる訳ない。お祖母様に
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