虚無-ゼロ-part1/目覚めの時
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「此度の援軍の遅れ、誠に申し訳ありません。今回の失態は、私が責任もってこの村の再建に助力する形で返します」
「ひ、姫殿下自ら謝罪なさるなど恐れ多い!助けに来てくださっただけでも我々タルブの者はたいへん光栄ですぞ!」
軍を率いてタルブの救援に現れたアンリエッタは、ただちにレキシントン号を配下の者たちに包囲し、レコンキスタ軍の兵たちを一人残らず捕縛させた。その後、出陣の遅れとそれによって村に犠牲者を出したことを詫びたが、不測の謝罪を受けたタルブ村の村長は王女自らの謝罪に恐縮した。
すると、アンリエッタの元に、トリステイン兵士に連行される形でボーウッドが連れ出された。
「アンリエッタ王女殿下…ですな?」
「あなたは…?」
「ヘンリー・ボーウッド。僭越ながらこのレコンキスタ軍最上艦、レキシントン号の現監督を勤めております」
「要件を伺いましょう」
何か用があって自分の元に赴いてきた。一矢報いる、と言うわけではないようだ。すでに会派たちに杖や剣などの武具をレコンキスタ側から没収するように通達している。ボーウッドもまた例外ではない。レキシントン号も、武器も奪われ、今の侵攻軍にトリステイン軍と戦う力はもうなかった。
「我々タルブ侵攻軍は、全面降伏いたします。我が命にすべての責任を押し付けても構いませぬ。ですが、兵たちの命だけは、どうかお助け願いたい」
アンリエッタは、一瞬揺さぶられた。この者たちは、彼女にとって思い人の仇でもある。でも、何もボーウッドのような潔さを兼ね備えたほどの男が手に掛けたとは思い難いし、憎しみに駆られて捕えた兵たちを惨殺させても、かえって民たちに恐怖を与えかねないし、トリステインへの不信感と無慈悲さを他国にアピールすることになる。
「…いいでしょう。ですが、私はまだあなたの命を奪うかどうかでは判断するつもりはありません。ただ、あなた方の知るレコンキスタの情報をいただきます」
「わかりました」
情報提供を条件に、タルブ侵攻軍はこうしてトリステイン側に降伏、事実上タルブ村でのレコンキスタ軍とトリステイン軍の戦いは終わった。
だが、まだウルトラ戦士と、レコンキスタを陰で操る、ハルケギニアを混沌に陥れようとした者の戦いはまだ終わっていない。いや、今から始まったと言うべきかもしれない。
「いずれ、あの巨人どもは我が主の障害となるでしょうね…ならば」
シェフィールドはジャンバードの上から、三人のウルトラマンを見下ろしながらそう呟くと、額のルーンを輝かせて空に飛び降りた。
すると、驚くべき変化がジャンバードに起る。まるでロボットアニメに登場するロボのように、変形を繰り返していく。やがて、ジャンバードは一体の鋼鉄の武人の姿となって、ウルトラ戦士たちの前に降り立った。武人の姿となったジャンバードの目が、赤く怪しい光を放った
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