虚無-ゼロ-part1/目覚めの時
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めてほしい者の言葉はなかった。傍に当たり前のようにいるはずの親がいない。むなしさを覚え、いら立ちを覚え、次第にその憤りが同胞たちへの絡みにもつながり、彼は人間でいう不良になり、周囲から認められるどころか評価が落ちて行った。実力について素質はあるが、人格に問題がある問題児として。誰かに認めてもらうには、強くならなくては。すでに、本当に願っていたことから大きくずれた目的にすり替わっていたことに気付かず、彼はついにプラズマスパークコア…禁忌に手を出してしまう。結果、彼は追放されてしまった。
真っ白な空間の中で、テクターギア・ゼロとサイトは目をあけた。不思議だった。同じ体を共有し合っている者同士が、こうして同じ場所に立っている。他に変わったことは、ゼロの体を包むテクターギアが、驚くほどにひび割れていたことだった。
「俺、バカみたいだな。ずっと見てくれていた人がいたってのに、気づきもしなかった…」
「ゼロ…」
過去の自分を振り返り、ゼロは自身のことを嘲笑した。
『自分がお前の父であることを明かさなかったのは、自身も恒点観測員から宇宙警備隊へ転職するまで知らなかったからだ。だが、真実を知ったその矢先にお前がエネルギーコアに手を出し、簡単に明そうにも明かすことができなくなったし、父親である自分ではなく、俺に預けざるを得なかった。
あの時のお前はまだまだ未熟だった。彼が止めなければ、エネルギーコアの巨大な力によって身を滅ぼし、ベリアルと同様に悪に落ちたかもしれない』
父親のことを尋ねたとき、レオはそう言っていた。ゼロの父親のことを聞いたときは、サイトも驚いていた。まさか、光の国や地球どころか、宇宙の広範囲にわたって名を上げた『彼』が、ゼロの父親だったとは。
「けどさ、俺はお前が羨ましいよ、ゼロ」
逆にサイトはゼロに羨望の言葉を露頭する。
「父親が、すごく有名で立派な人だったじゃないか。それに、追放を下してもなお、自分の弟子に息子を託していたなんて、ちゃんとお前のことを見ていてくれたってことだろ?ちょっとした自慢になるじゃないか!『親父は俺の誇りなんだ』って!
デルフだってそう思わないか?」
「俺っちに聞かれてもなあ…なんたって、俺ぁ錆びついた剣だぜ?」
急に人間臭い問いを投げつけられ、デルフは戸惑う。いくら約6000年も生きてるからって、人間じゃない自分にそのような問いは困らせるだけだ。
白い光。この光は不思議だった。ずっと昔から知っていたように、奇妙な懐かしさを皆に感じさせた。懐かしいと感じると、二人は思い出した。
「この光を浴びてると、思い出さないか?」
最初に出会った時のことを。
「ああ…最初に会ったときは、散々だったな」
自分が急にテクターギア・ゼロに変身して互いの存在を認識しあい、でも怪獣退治か人命救助、どちらを優先するかで意見
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