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メイジVSウィッチ
第四章

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第四章

 学校全体でだ。拡樹は二十番だった。かなりいい方である。
「御前意外と頭いいんだな」
「勉強もできるんだな」
「そうだったんだな」
「最低限の勉強をしているつもりだけれどね」
 彼はここでもこんな返答を出すだけだった。
「それだけだよ」
「まあ山崎さんへのアピールにはなるよな」
「だよなあ」
「その山崎さんも」
 見ればだ。彼女は二十一番だ。ただし彼と得点は同じだ。
「やるねえ」
「文武両道の美女」
「しかもスタイルも完璧」
「凄いよな」
「で、御前もな」
 また彼に話すのだった。
「釣り合ってるじゃないか」
「だからな。そろそろな」
「いいんじゃないのか?」
「だから言っている意味がわからないんだけれどね」
 まだこう話す彼等だった。
「さて、それでだけれど」
「それで?」
「どうするんだよ」
「どうするってクラスに帰るんだよ」
 それだけだというのである。素っ気無い口調だった。
「じゃあ帰ろうか」
「それだけか」
「全く。何時言うんだか」
「わからない奴だな」
「山崎さんにしてもな」
 こうしたことが続いていた。そうしたある日だった。
 遂に我慢できなくなった周囲がだ。それぞれ二人に言った。
「今日の放課後屋上だよ」
「いい?そこに来て」
「いいよな、そこだよ」
「わかったわね」
 男連中も女組もそれぞれ二人に話す。そうしてであった。
 その二人もだ。とりあえずは頷いた。
「わかったよ」
「屋上だな」
「ああ、そこだ」
「わかったわね」
 こうしてだった。とりあえず二人をそこに行かせることは成功したのであった。そうしてその放課後であった。
 放課後だ。彼等はそれぞれ屋上に来た。拡樹は右から、そして英美は左からだ。それぞれ入ってばったりという形で会った。
 周りの面々はその二人をそれぞれ屋上の左右の出入り口の扉の向こうで見守っていた。とにかく二人を見ていた。
「これで告白するよな」
「絶対にどっちかがね」
「全く。お互いにアプローチ仕掛けて」
「何で言わなかったんだ?」
 彼等にとってもわかっていることだから余計にもどかしいことだったのである。
「しかしこれでやっと」
「どっちかが言うよな」
「ああ、言うよな」
「こうしたら」
 こんな話をしながら二人を見ていた。そしてその二人は。
 青い空の下の屋上で向かい合う。まずはであった。
 英美がだ。その口元に微笑みを浮かべて言った。
「さて、奇妙なことになったな」
「そうだね」
 拡樹もこう返す。
「これはまた」
「この時だけじゃなくてね」
「一つ言っておく」
 英美からの言葉である。

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