第百八十二話 山中鹿之介その六
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「首だけになろうとも」
「だからこそ当家にも来たのじゃな」
「はい」
その通りだとだ、山中は包み隠さず信長に対して答えた。
「利用する様で申し訳ありませんが」
「それはよい、当家も御主を利用する形になる」
「それがしをですか」
「十人衆をな」
山中が従える尼子十人衆だ、山中はその十人の筆頭なのだ。
「戦力として使うつもりじゃからな」
「だからお互いですか」
「そうじゃ、お互いじゃ」
こう山中に言うのだった。
「そうした意味でもな」
「左様ですか」
「しかし御主はどうしてもじゃな」
「はい」
その通りだとだ、山中の返事は今も変わりはしなかった。
「尼子家を再興させます」
「そう言うか」
「左様です」
「御主のことはわかった」
それは、と言う信長だった。
「召し抱える、十人衆全員な」
「有り難き幸せ」
「しかし、再興を目指してもな」
それでもだというのだ、信長はこのことはどうしても否定した。
「それは適わぬのではないのか」
「絶対にですか」
「それでも御主は諦めぬな」
「はい、必ず果たしますので」
山中の言葉はぶれない、その心も。その絶対にぶれないものを見て信長はとりあえずだった。彼にこう告げた。
「わかった、ではそのことは好きにせよ」
「お家再興をですか」
「こうする、出雲を手に入れたらな」
尼子の本領であったこの国をというのだ。
「さすれば尼子家にあの家が望むだけの石高をやる」
「そうして頂けますか」
「御主にもな」
「それがしの石高はいりませぬが」
「そう言うでない、その時は好きなだけ与える」
信長はこのことを約束するのだった。
「御主の望むものを与えるわ」
「それがしのですか」
「その通りじゃ」
山中達尼子十人衆がお家再興の為にがむしゃらに働くことはわかっている、それで彼にこう言ったのである。
「このことも約束するわ」
「さすれば」
「では毛利との戦の時はじゃ」
それが近いことはも誰の目にも明らかである、だから信長も隠さず言ったのだ。
「頼んだぞ」
「わかっております、それでは」
「そういうことでな」
こうしてだった、何はともあれ山中と彼が率いる尼子十人衆は織田家の家臣となった。山中はすぐにその十人衆と共に姫路城に向かった。
だが、だ。それでもだった。
黒田がだ、その尼子十人衆を見てからいぶかしむ顔で蜂須賀に言った。
「あの、尼子十人衆といいますが」
「うむ、調べれば確かに十人おるがな」
「それがしが聞いたところでは」
「十人の筈がじゃな」
「十六人います」
「そうじゃ、十人衆の名の数を数えるとな」
それが十六人いるとだ、蜂須賀も言うのだった。
「そうなるのう」
「はい、確かに」
「しかし十人じゃ
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