第百八十二話 山中鹿之介その四
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「そのそれぞれの将達と共にな」
「二十四将、二十五将と共に」
「そうじゃ、家臣の中に入れる」
無論その領国とだ。
「そうするからな」
「それでは」
「わしは倒しじゃ」
そして、というのだ。
「組み入れるのじゃ」
「織田家に」
「その中に」
「武田、上杉は両腕でじゃ」
「さらにですか」
「毛利と北条も」
「あの両家は両脚じゃ」
それになるというのだ。
「両手に両足も備えてな」
「織田家として」
「天下を治めますか」
「そうすることにする」
こう家臣達に告げるのだった、信長は戦の用意とそれからのことも進めていた。彼にとって戦は政と同じだった。
その信長のところにだ、ある報が入った。その報はというと。
「尼子からか」
「はい、あちらからです」
蜂須賀が彼に報告していた。
「是非殿にお会いしたいと」
「山中鹿之介じゃな」
「左様です」
「その者なら知っておる」
山中の名を聞いてだ、信長は言った。
「尼子家の家臣だった者じゃな」
「確か尼子家の猛将でしたな」
「左様じゃ、しかしじゃ」
「尼子は滅んでおりますな」
「うむ、その本城を陥とされてな」
出雲の月山富田城をだ、攻め落とされてだったのだ。尼子家は毛利家に攻め滅ぼされているのだ。
「滅んでおったな」
「しかし」
「尼子の残党は残ってな」
「しぶとくお家再興を掲げて戦っていましたな」
「だからじゃ」
それでだというのだ。
「わしも知っておったが」
「左様でしたか」
「しかしそのお家再興もじゃ」
尼子家の残党が目指すそれもというのだ。
「果たせずな」
「毛利に幾度も敗れていますな」
「それこそな」
何度もだというのだ。
「大友を頼ったり山名を頼ったりな」
「その山名も」
「うむ、降った」
毛利家にだ、最早山陰と山陽は播磨以外は完全に毛利のものになっているのだ。織田家は但馬と丹後、その播磨を完全に抑えているがすぐそこに毛利が迫ってきているのだ。
「それでどうするかと思っておったが」
「ここで、でしたな」
「うむ、当家を頼ってきたのじゃな」
「はい、是非織田家にお家再興をお願いしたいと」
「ふむ」
ここまで聞いてだ、信長は考える顔になった。そのうえで蜂須賀にこう述べた。
「正直尼子の再興はな」
「それはですな」
「もう無理であろう」
それは、というのだ。
「最早な」
「尼子は終わりですか」
「当の尼子家自体にな」
そもそも彼等が、というのだ。
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