第百八十二話 山中鹿之介その三
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「ではな」
「叩いて、ですか」
「そうして」
「家が守れればよいという者達じゃ」
「それ故にですな」
「戦には勝とうとも」
「うむ」
まさにというのだった。
「家は残す」
彼等が家が残れればいいと思っているだけの者達だからだというのだ。信長は毛利と法帖についてはこう言った。
「力を削ぐ為に石高は相当減らすがな」
「あの者達はですか」
「そうしますか」
「それに両家の人も欲しい」
人も、というのだ。
「特に毛利の三人はな」
「毛利元就の息子達の」
「あの三人も」
「うむ、欲しい」
それもあってというのだ。
「無論他の人材もな」
「北条についてもですな」
「あの家の人も」
「そのつもりじゃ。そしてな」
さらにとだ、信長は家臣達に話を続けていく。
「武田と上杉じゃな」
「その両家ですな」
「平手が目を鋭くさせて信長に言ってきた。
「やはり」
「そう思うな、爺も」
「はい、織田家にとって厄介な相手はです」
「まずはな」
「その両家です」
何といっても、というのだ。
「本願寺は何とか石山だけにしましたし」
「武田と上杉がな」
「今の当家の最大の敵です」
「その通りじゃ、だからな」
「両家共ですな」
「戦い、そしてじゃ」
「それでもですか」
「潰さぬ」
彼等もだ、そうするというのだ。
「取り込む。浅井家や長宗我部家の様にな」
「我等の様にですか」
「織田家の家臣とされるのですな」
長政と元親がここで言ってきた。
「その様にですか」
「そうされますか」
「そうじゃ、あの二家もな」
武田、上杉共にだというのだ。
「倒す、そうするぞ」
「はい、わかりました」
「それでは」
二人もこれで納得した、浅井と長宗我部の家臣達もそれに続いた。藍色と紫色の服の者達もそうしたのだ。
その彼等も見てだ、また言う信長だった。
「武田信玄も上杉謙信もそれぞれ言っておるな」
「あの言葉ですな」
林が応えてきた。
「そうですな」
「そうじゃ、わしを降してな」
「それぞれの片腕にすると」
「そう言っていたがな」
それは、というのだ。
「わしも同じじゃ」
「では武田、上杉は」
「天下の柱となるべきなのじゃ」
二人共、というのだ。
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