第百八十二話 山中鹿之介その二
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「鉄砲等もな」
「畏まりました」
「毛利の水軍を破り本願寺を降したならばな」
その次は、というのだ。
「毛利との戦を一気に進める」
「一気にですか」
「そうじゃ、一気にじゃ」
まさにこの言葉通り、というのだ。
「攻めるぞ。よいな」
「畏まりました、では」
羽柴も応えたのだった、信長はその羽柴を見てから今度は明智に顔を向けた。彼と細川に言うのだった。
「十兵衛、そして幽斎」
「はい」
「我等はですな」
「御主達は山陰から攻めよ」
毛利を、というのだ。
「但馬等を手に入れるのじゃ」
「では鳥取城も」
「あの城もですな」
「富田城を目指すのじゃ」
かつて尼子の本城だった月山富田城をというのだ。
「迫るのじゃ、よいな」
「畏まりました、では」
「我等は山陰から」
「攻め上がるのじゃ、わしは山陽を攻める」
そうしてというのだ。
「毛利との戦は一気に終わらせる」
「そのうえで東に戻り」
今度言ってきたのは竹中だった。
「そうしてですな」
「うむ、あちらもな」
その東国もだというのだ。
「平定する」
「そうされますか」
「だから道も整えていたのじゃ」
織田家の領内は主な城を全て道でつなぎ伊勢街道や東海道は整え大軍が速やかに進める様になっている。信長はその道についても言うのだ。
「すぐに東国にも迎える」
「では」
「まずは本願寺を降しじゃ」
そして、というのだ。
「一気に毛利との戦も終わらせてな」
「それから東国に引き返し」
「東国も収める」
そうするというのだ。
「そうして山陰も山陽も東国もな」
「全て手中に収められますか」
「今がその正念場じゃ」
織田家が主な敵達を倒し天下の大半を手中に収める、それがというのだ。
「だからこそ必ず勝つ」
「全ての戦に」
「その為に御主の知恵も借りる」
竹中にもこう言うのだった。
「よいな」
「及ばずながら」
「勝つからには徹底的に勝つ」
相手を叩き潰すというのだ。
「そしてじゃ」
「本願寺も四つの家もですか」
「滅ぼしますか」
「いや、それはせぬ」
滅しはしないというのだ、どの家も。
「本願寺は兵を持たず石山から去ればよい」
「つまり本来の姿に戻れと」
「一向宗の」
「新欄上人の時にな」
あの兵も荘園も持たず民を救うことに専念していた時にだというのだ。
「戻ればよい」
「では武田や上杉は」
「そして毛利、北条は」
「まず毛利や北条は天下を望んではおらぬ」
このこともだ、信長は見抜いていた。
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