第二十五話 幻と現実その十二
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「行くわよ」
「来い、来ないのならだ」
「その時はよね」
「俺から行く」
「そうよね、そしてそれはね」
「貴様もだな」
「待つことも闘いのやり方だけれど」
それでもだというのだ、菫は構えのまま間合いを見ていた。
「それだけでもないから」
「だからだな」
「そしてね」
それに、と言ってだった。すぐに。
菫は薙刀を左斜め下から右斜め上に一閃させた、そうしてそこから鋭い気の刃を放って怪人に飛ばした。
気の刃が怪人に向かう、しかし。
怪人はそれを右手の周りにある触手を前に突き出しそこから出した電流で刃を打ち消した。そうして言うのだった。
「今のが挨拶だな」
「結構本気で狙ったわ」
「本気の挨拶だな」
こう返した怪人だった。
「そう思っていいな」
「そうなるわね」
「貴様は相手を侮らないな」
「相手を侮ると馬鹿を見るわ」
特に命を賭けたやり取りは、である。
「そうなるわ」
「その通りだ、そして俺もだ」
「今のが、っていうのね」
「本気で出した」
その電流をというのだ。
「俺とて相手を侮ることはない」
「そういうことね」
「それではだな」
「ええ、挨拶は終わってね」
そして、と言ってだ。そのうえで。
菫も怪人もだ、お互いにじりじりと間合いを詰めていった。両者はその間も気と電流を出し合うがお互いにそれをそれぞれの攻撃で相殺していた。
そしてだ、その二人を見てだ。闘いを見守る菖蒲は言った。
「この勝負、どうやら」
「俺だけだ、来ているのはな」
怪人はその菖蒲に言った。
「他にはいない」
「その様ね」
「しかしだ」
「私達両方を倒すというのね」
「そうだ、この女を倒してからだ」
それからだというのだ。
「貴様も倒す」
「そうね、けれど」
「それはか」
「出来ないわ」
決して、というのだ。
「貴方は菫さんに倒されるわ」
「それだけ仲間を信頼しているのか」
「そうよ、菫さんは強いわ」
断言しての言葉だった。
「貴方に勝つ位はね」
「面白い、ではどれだけの強さかだ」
「見せてもらうというのね」
「身体で味あわせてもらう」
見るのではなく、というのだ。
「そうさせてもらう」
「あくまで闘いを楽しみたいのね」
「俺はそうだ、ではいいな」
怪人はまた菫に言った、今も攻防を繰り返している彼女に対して。
「まずは貴様だ」
「わかっているわ、ではね」
菫は怪人の触手をだ、薙刀の刃を一閃させて弾き返してから言った。
「私も負けるつもりはないから」
「技を見せるか」
「そうさせてもらうわ」
「貴様の戦闘術はわかった」
薙刀のそれは、というのだ。
「そして気の強さもな」
「私の操る気の」
「それはわかった」
充
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