第二十五話 幻と現実その十一
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「触ったらそれだけでだ」
「死ぬというのね」
「覚悟はいいか」
こう言う、その怪人に対して。
菖蒲は前に出ようとした、だがその菖蒲に菫が言った。
「待って」
「菫ちゃんが闘うのね」
「そうさせてくれるかしら」
菖蒲の方を見ての言葉である。
「ここは」
「わかったわ。ただね」
「新手が出たりしたら」
「その時はね」
菖蒲はその手に剣を出しつつ言った。
「任せて」
「うん、けれどね」
「この怪人だけだと」
「私だけで充分だから」
菫一人で、というのだ。
「いいわね」
「わかったわ。それじゃあ」
菖蒲も納得した、そして。
自分がいる場所から動かなかった、ただ武器は手に持っている。菫はその菖蒲に微笑みを向けてそれからだった。
怪人に顔を向けてだ、彼にはこう言った。
「それじゃあね」
「貴様が俺の相手をするのか、面白い」
「面白いっていうのね」
「俺jは闘いが好きだ」
クラゲの頭、カツオノエボシのそれにある目を笑わせての言葉だ。
「だからだ」
「楽しむっていうのね」
「そうだ、そうさせてもらう」
「それが生きていて最後の楽しみになると思うけれどね」
「案ずるな、そうなってもだ」
例えだ、敗れてもというのだ。
「俺にはどうということはない」
「生まれてすぐだからっていうのね」
「刹那に生まれて刹那に死ぬ」
怪人はこうも言った。
「それが俺達だからな」
「悲しい言葉ね」
「悲しくはない」
それもというのだ。
「俺はそう思っていないからな」
「だからなのね」
「そうだ、ではだ」
「では?」
「武器を出せ」
まだ得物を出していない薊への言葉だ。
「すぐにな」
「そういえばね」
ここでだ、菫も笑ってだ。
そうしてだ、こうも言うのだった。
「まだだったわね」
「得物を使うのなら出せ」
「そして闘えっていうのね」
「言った筈だ、俺は闘いが好きだ」
楽しむ、それ故にというのだ。
「だからだ」
「私に武器を出して万全の状態で闘え」
「その貴様を倒す」
そうしたいからだというのだ。
「だからだ、いいな」
「わかったわ」
菫は怪人に答えすぐにだった。
その手に薙刀を出して両手で構えた、そのうえで怪人に言うのだった。
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