第6章 流されて異界
第102話 ユニーク
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て、何時までもグズグズしていても男らしくない。そう考える俺。少なくとも、あまり格好が良いとも思えませんから。
特に俺が感じている郷愁に関しては、長門さん以外には伝わっていないはずですから。
そうして、
最初に、何故か罰ゲームの審判役となった涼宮ハルヒに最後に視線を送り……。
左脚に体重を掛け、右脚を右斜め前に半歩踏み出した形で胸の前に腕を組むハルヒが、相変わらず不機嫌そうな表情で俺を睨み付ける。
……何が気に入らないのか。いや、この紫色の液体がマイルドな味付けに成った可能性が有る事が気に入らないのか。
これでは罰ゲームのリアクションを見物する事が出来ないから。
――関西系のテレビを見て育って来た俺としても、多少、派手なリアクションで笑いを取るタイミングを逸したのは、確かに少し残念な事なのですが。
そんな前回――ハルケギニア世界でモンモランシーの作り出した不気味な液体を飲み干した時と比べると、かなり余裕のある精神状態で一気に湯呑の液体を飲み干そうとする俺。
「でも、何故かそのお茶を一滴嘗めとった従姉の飼って居る猫が、それから丸一日眠り続けたんですよね」
何気ない朝倉さんの一言が鼻を摘まみ、一息に不気味な液体を飲み干そうとした俺の耳に届く。
刹那。下から払われる左手。そして、握っていた湯呑が宙を舞う。
その瞬間、口腔に広がる独特の発酵臭。いや、そんな生易しい物ではない。これは俗に言うドブ臭いと言う臭い。そして、それに続く渋さと苦さの合いまった……何とも表現し難い味。
確かに一言で説明するのなら……これからソレを呑まなければならない相手に対しては、素直に死ぬほどマズイと言えない以上、ユニークと表現するしかない液体。
天井近くにまで跳ね飛ばされる湯呑。しかし、その内容物の大半は既に俺の口腔内に移された後で有ったが故に、周りに臭気と内容物をぶちまけるような被害を広げる事もなく――
完全に油断して居た俺が、その意味不明の万結の行動に驚き、口腔内に存在していた液体を飲み干してしまう。
ただ……実際、これは幸運。何処が自信作なのか判らない強烈な味をした正体不明。但し、人体には悪影響を及ぼさない液体を、驚いた勢いで飲み干せたのですから。
高い。ほぼ直上に打ち上げられたかのような分厚い陶器の湯呑。しかし、重力の軛から逃れられない運命の物体は、何故か感覚としては妙にゆっくりと床に叩き付けられ――
破壊音を響かせた。
その瞬間!
ぐにゃり、と視界が歪む――
そしてその時、俺の横でパイプ椅子に座ったまま、何が起きても我関せずの態度を貫いて居た神代万結が立ち上がり、俺の手から湯呑を跳ね飛ばした事にようやく気付いた一同。
普段の万結から
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