第6章 流されて異界
第102話 ユニーク
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ただ、さつきに関しては、そもそも身長自体が長門さんと比べても十センチほど低いように見えるので、このサイズなのは仕方がないようにも思えますが。
何と言うか、飛び級でもして小学生が無理矢理に高校に通って居るんじゃないの、と言う疑問を覚えさせると言う雰囲気なので……。
もっとも、向こうの世界。更に、一般的な日本人よりも体格が良いはずのヨーロッパ人に分類されるタバサも、こちらの世界の相馬さつきと同じ程度のヴォリュームなので、この辺りは誤差の範囲内と言って置くべきですか。
「そうやな、さつき。流石に、ちょいと躊躇い過ぎたみたいや」
俗に言う、男の夢と浪漫が詰まっていると言われている双丘に関して思考が跳びかかった事を気取られる前に、素直にそう答えて置く俺。
実際、現状は、と言えば四面楚歌状態。朝比奈さんと弓月さんは少し困ったような曖昧な笑みを見せるのみ。
万結は普段通り我関せずの姿勢を貫き、
さつきは何故か非常に不機嫌な様子。おそらく、俺の煮え切らない態度が癇に障ったのだと思いますが。
対して、先ほどまでは非常に不機嫌だったハルヒは飲んだ後の俺のリアクションを期待しているのでしょう。不機嫌な雰囲気の中にも、そう言う興味に近い色を発し始めて居ます。
長門さんは……。良く分からないけど、少なくとも俺の事を心配している様子はない。これは、この紫色の液体を自らが飲んだ経験もある上に、同じ人工生命体で有った朝倉涼子と言う人物を信用して居ると言う事なのでしょうね。
そして、件の朝倉涼子はと言うと――
「前のお茶は味に関して非常に不評だったから、今度の分はその辺りを考慮して完成させた自信作なんですよ」
従姉も今回の分は成功ですねぇ。……と言って誉めてくれたのですから。
少し口を尖らせて、それでも不満げに聞こえない表情と口調でそう言う朝倉さん。これはハルヒが良く見せる表情なのですが、多用し過ぎて居て既に少々マンネリ化。矢張り、こう言う魅力的な表情と言うのは偶に見せるからこそ破壊力があるのだな、と感心させられた。
こう言う表情を、こんな何でもない会話の中に織り交ぜる事が出来るのが、彼女の人気が高い理由なのか。そう少し納得する俺。
そして続けて、その朝倉涼子の従姉と言う女性の口調のモノマネに少しの笑みも漏らす。ただこの笑みは、笑うしか方法がない、と言う諦めた者の笑み。何故ならば、この世界が俺の暮らして居た世界とはまったく関係のない世界だと言う事も改めて理解させられた瞬間でしたから。
本来なら。俺の知っている歴史の流れなら、二00二年の十二月に彼女が西宮で暮らしている、などと言う事実は有りませんでしたから。
何にしても――
故郷に対する郷愁に浸って居る時間はない。まし
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