志乃「番外編って言っても別に大したことないけどね」
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するような目で見た妹は、心配する様子も見せずに部屋に戻った。どうやら妹は問題に関わっていないようだ。右足の外側に受けた痛撃が何故か俺を空虚な感覚にさせていた。
……俺、一人で楽しそうだなぁ。
*****
志乃も犯人じゃない。だとしたら残っているのは父さんだけだ。これだけの犠牲を払ってようやくここまで来たのだ、父さんには死んでもらうしかない。冗談だけど。
しかしTHE HENTAIは夜にならないと帰って来ない。仕方ないので、昼飯を取った後は部屋に戻って本を読むことにした。
でもDVDの行方が気になって集中出来ず、今度はゲームをやる事にした。最初は普通にのめり込んで楽しんでいたのだが、なんとなく時計を見たところで今の自分の状況を思い出して一気に萎えた。
こうなったら寝てしまおう。現在時刻は午後の一五時。今から寝れば丁度いい時間帯じゃないか。勝手には合理化してしまった俺はすぐにベッドに横たわる。起きたのが遅いのに、数分後にはもう眠ってしまっていた。
気付いたら辺りは真っ暗で、窓から差し込む薄明かりと開きっ放しのドアの方だけが部屋に僅かな色を与えてくれていた。おかげで視界も効いている。
重たい目を擦って一階に行くとリビングにはすでに夕食が用意されていた。匂いだけで分かる。今日は豚汁だ。
と、その時玄関の方から「ただいま〜」という声が聞こえてきた。そこで俺の意識は判然となって、リビングから玄関へと急いで向かう。
そこにはネクタイを何故か右腕に巻いている変態野郎がいた。つか何でリストバンドみたいにしてんだよ。カラーギャングか何か演じてるのか?言っちゃ悪いが古いぞ。
「お、どうした伊月。俺をそんなに睨むんじゃないよ」
気さくな調子で俺に話しかけてくる父さん。その様子を見ていると、とても部屋からエロDVDを盗んだ犯人とは思えないが、他のみんなにアリバイがある以上優しくする事は出来ない。
俺の横を通り過ぎようとする父さんの肩を叩いてこちらに振り向かせる。「ん?」と間抜けな顔を突き出してくる奴に俺は言った。
「後で話があるから、俺の部屋に来てくれ」
「なんだなんだ、男同士の話でもするのか?あいにく俺には愛すべき妻がいるから恋バナは」
「ああ大丈夫、それはないから」
ちょっと冷たくあしらっておいた方が良いのだ。この親父の場合は。そうして俺は寝起きなのに妙に覚めている思考の中で、最後に一言唱えた。
さっさとケリつけて、笑顔で帰ろう。
……覚めてるのは確かだけど、考えてる事はまだ寝ぼけてるな。一人溜息を吐いてから俺は風呂場へと向かった。
*****
「で、俺に何の用だ?恋のお悩みか?それとも将来?なに、案ずるな。お前
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