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相棒は妹
志乃「番外編って言っても別に大したことないけどね」
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 でもそんな文句は億尾にも出さない。それを言えば志乃は再び部屋への扉を閉めてしまう事だろう。それでは苦肉の策の意味が無い。

 母さんは「もうちょっと仲良くしたら?」と苦笑いしながら降りて行った。残ったのは上手く会話を切り出せずにいる兄と、とっととしろ的な顔で俺を見ている妹だけだった。

 「その、さ。ちょっと話があるんだけど」

 何とか言葉を口に出来た俺に、志乃はジト目で質問してきた。

 「すぐ終わるの、それ」

 「え、ああうん。すぐ終わるから、ちょっと聞いてくれ」

 「なに」

 やべえ、すごいダルそうな顔してる。早く終わらせて心の底から安心しよう。犯人が父さんなら俺も言い負かせられる自信あるし。

 「そのな、お前……」

 ごく自然に話そうとしたところで、俺は究極の難題を抱えていた事に気付いた。それはまさに、これから志乃に話す内容についてだ。

 『お前、俺のエロDVDパクッた?』なんて気軽に聞ける話じゃない。ましてや相手は妹だ。恐らく、いや、確実に軽蔑される。それどころか一生口聞いてくれなくなりそうだ。だってもう、これセクハラじゃん!

 ううん、参った。俺は真実を告げるべきなのか。待て、早まっちゃダメだ。ここはあえてオブラートに包もう。ちょっと柔らかな感じで、それとなーく話せばいい。あまり語彙力に長けていない俺だけど、こういう窮地には意外と強いと自負している。それが長年剣道をやってきて積んだ判断力によるものなのか、過去に放火事件を犯した俺の狂った神経によるものなのか、答えは分からない。

 目の前には徐々に苛立っているように見える妹。早く要件を済ませなくてはならない。でも内容がちょっと生々しい。そこで俺が口にした、生々しさを最大限に優しく包み込んだ言葉。それは――

 「お前さ、最近フラストレーションが溜まって、それをすっきり解放するためのツールとか使った?」

 これだああああああああああああああああああああああああああああああああ!!俺は言葉を吐き出した直後に、心の中でガッツポーズを決めた。

 欲求不満をあえてフラストレーションに、道具をツールという単語に置き換え、どことなくエロいイメージを払拭するのに成功。その上『すっきり解放』なんて、すごい清楚に聞こえないか?まさしく当初のコンセプト通りだ。さすが俺、と今なら胸を張って自慢出来る。

 筈だったのだが――俺は見落としていた。

 俺が質問をした後の、奴の反応というものを。間接的に『自分を慰めるための道具使った?』と聞かれた後の言葉を。

 ……数秒後「死ね」という言葉と共に妹が籠城する部屋への扉は勢いよく閉じられ、開閉する際の扇上にあった俺の足にドアが直撃。ストレートに悲鳴を上げてその場にうずくまった俺を唾棄
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