暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
幾多の人間が思惑を重ね、やがて殺し合いが始まる
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ようだ。ここに来るまでに一度も敵と遭遇しなかったのを、ケンジ達は安心した。焦った状態で見つかれば、確実に仕留められていただろう。
二人は足音をなるべく立てないように彼女の元へ向かい、状況を聞いた。
「ついさっき接触したばかり。リーダーはヘヴンヴォイスの安全を確保するために向かってる。私は囮で時間稼いでたけど、もう反撃してもいいわよね」
元々、ヘヴンヴォイスが宿泊した階は誰もいないように細工してある。それは敵を誘き出すためでもあり、仮に来た場合に備えたためでもある。その機能はちゃんと果たしたらしい。
とはいえ、人がいないが故に敵も味方も殺し合いに制限を掛けなくなるというのが最大の難点ではあったが。
「もうやっちゃいましょうぜ。敵、何人すか?」
「6人。で、今は3人」
「じゃあ、残りの3人は……」
宮条は少し目を下に落としてから不安要素を口にした。
「分からない。でも、あいつらの目的がヘヴンヴォイスなのは分かってる。だとしたら……」
「マジ、かよ……3人を相手取る事なんて……」
そこで、彼らの不安をかき立てるかのように遠いところから発砲音が鳴り響いてきた。宮条は珍しく顔を青くしながらケンジ達に嫌な情報を告げる。
「リーダーは、銃を持っていない」
「……」
「……」
三人の間に沈黙が走る。しかし、それは束の間の出来事だった。
「僕が、囮になります」
小さく、しかし芯の通った声でそう言ったのはケンジだった。その目はすでにどこかにいる3人の敵を見据えており、狩屋も宮条も茫然としていた。
「暁君、自分が何を言ってるか分かってる?」
「分かってます。でも、僕が八幡さんのところに言っても何も出来ない。だったら近くにいる3人を少しでも引き付けて、その間にお二人が行けば……」
「その前に死んだら?」
宮条の冷たい声が、ケンジの口の動きを止める。何も言えなくなった彼に対し、彼女は無表情のまま言い放った。
「もし囮になる前に死んだら、それも意味がないのと同じじゃないかしら。あのね暁君、囮っていうのは、言葉以上に死に近いの」
「……はい」
「だから、君は狩屋と一緒にリーダーのところに行って。私は隠密主体だから、逃げるのは得意なの」
「……勝手な事言って、すみませんでした」
「別に責めたつもりはないわ。でも、それだけは分かってほしい」
そう言うと、宮条は手入れされていない自分の髪をわしゃわしゃさせながら、微笑を浮かべた。
「少なくとも、狩屋よりはカッコいいかな」
「ちょっ!もしかして姐さんってショ……」
「下らない事言ってないで、早く行きなさい。リーダ
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