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横浜事変-the mixing black&white-
赤島は自分が脇役であるにも関わらず、主役と同じ事を考えた
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しての生活に安寧の日々を感じているのではないだろうか?
対象は殺し屋に限る事ではない。悪質な虐めを続けるクラスメイトに対する憎悪や憎しみ、殺意、器だけの言葉だけを並べ立てる上司への不満、苛立ち。この世の全てに対する慙愧。人間は何かしらの絶望を抱えて生きている。精神的に幼ければ幼いほど、自分の思い通りにいかないと爆発する。自ら茨の道を歩き始める。その果てに見えるのは――希望でないのは確かだ。
そしてケンジは、それを恐れている。すでに茨の道を歩いているのは自覚しているのだが、その先に自分が望む結果が見られない事を、彼は酷く怖がっていた。やはり、どれだけ言葉で切り離そうとしても、意味を意識してしまうのだ。
――早く、歩けるようにならないと。どれだけ刺々しくて血に塗れていようと、足を傷付ける事無く歩き続ける方法を。
そんな甘ったれた方法などないと悟りつつ、ケンジは願っていた。
故に、彼は気付けなかった。それは致命傷であるのだが、ある意味無理ないものだった。
今の彼は外で仲間が見守ってくれているという事と、護衛対象の近辺に仲間がいるという事実に当然の安心感を覚えていた。それは『慣れ』も伴って集中力を削がす原因となる。
殺し屋を恐れていた最初のケンジからしてみれば、それはまさしく『慣れ』であり、ある意味成長とも取れたのだが――残念ながら、それは裏目に出てしまった。
この時、ケンジも狩屋も、気付けなかったのだ。
すでに敵がホテル内に侵入しているという事に。そして今、殺害対象の元へと足を運んでいるという事に。
*****
同時刻 ホテル『ニューグランド』エレベーター内
塵一つ無い鮮麗なエレベーターは浮遊感を感じさせないゆったりした移動で、乗客を目的地まで輸送していく。あまりに揺れの無い自然な動きと無音さに、中に乗り込んだ殺し屋達は互いに驚きの声を漏らしていた。
彼らは各々のスーツやタキシードで身体を包み、上品なイメージを湧かせる。しかし、中には服越しにも分かる屈強さを滲ませる男もおり、一つの写真に収めたら堅気には見えないだろう。
エレベーターについての批評を語り合う彼らから一歩引いたところに、その少年はいた。
通っている山垣学園の制服ではなく『今だけ』仲間である殺し屋の一人に貰ったスーツを着用している。制服とは違う感覚に戸惑ったが、人を殺す上での支障はないと判断した。
スーツの内側に仕込んであるバタフライナイフの薄さをほぼ直に感じながら、少年――田村要はゆっくりと吐息を漏らす。そして相変わらずの無表情の奥で、高揚する気持ちを押さえ付けていた。
――やっと『アイツ』の計画が始まった。殺し屋統括情報局の殺し屋と殺り合うのは初めてだから、わくわくする
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