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横浜事変-the mixing black&white-
赤島は自分が脇役であるにも関わらず、主役と同じ事を考えた
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つつ、周囲に目を配らせる赤島。幸い自分達が『表舞台』に上がるような事は無さそうだ。作戦変更などの連絡も無い事から、予定通り進んでいるのだと悟る。

 「まあ、頑張ってくれ。出来る事なら俺らにバトンタッチしないようにさ」

*****

同時刻 ホテル『ニューグランド』旧館フロント

 歴史ある横浜の豪華ホテルは、外観も内部も目を疑うほどに華美だった。かつて災害で多大な被害を受けた横浜に官民一体になって作られた、クラシックホテルの金字塔ともいえるそれは、一目見ただけで普通の人間には手が出せない宿泊利用施設だと解る。それだけに、作戦のためにホテルに入ったケンジには感嘆の声すら出せなかった。

 間抜けな顔で辺りを見渡していると、後ろから軽いチョップを喰らった。恐る恐る顔を向けると、そこには呆れ顔の狩屋が立っていた。

 「確かにホテルの内装にびっくりするのは分かるけどよ、手ぇ動かせ」

 「はい……」

 そう言って彼は自分に任せられた場所を掃除しに行った。この作戦において、チームAは実際に掃除人としてホテルの中に進入し、ヘヴンヴォイスを一番身近な所から護衛していた。

 とはいえ、メンバーが4人しかいないため、フロントに狩屋とケンジを配置させ、ヘヴンヴォイスが泊まる階に八幡と宮条が掃除人として潜んでいる。その他にチームCがホテルの外に、少し離れた中華街付近にチームBが待機している。人手不足は解消されているので、万が一の場合でも対処出来るだろう。

 ――それにしても、どうやってホテルに入れるように手配したんだろう。これも局長がやったのかな?

 当然と言えば当然の疑問なのだが、考えるだけ掃除の手が止まるのは承知なので頭から放り出す。ホテル専用の服が自分には似合ってないなと思いながら掃除を続けるケンジ。だがその一方で、すでに殺し屋としての仕事に慣れている自分がいる事に彼は気付いていた。

 ――慣れって怖いなぁ。僕が感化されやすいだけかもしれないけど。

 そこで改めて腰に隠された拳銃の重みを感じ、ケンジは機械的に腕を動かしながら考える。

 ――みんなは何で殺し屋になったんだろう?

 そうした個人情報を彼らは喋らない。それが守秘義務なのか、それとも他人の過去に興味がないのか、相手の過去は探らないという暗黙の了解があるのか――あらゆる可能性が考えられるが、ケンジにはどれが答えなのか分からなかった。

 ――僕みたいに、復讐のために殺し屋になった人はいるのかな。必ず相手を殺せるわけでもないのに。

 自分の場合、犯人がこの街にいる事と相手が殺し屋である事が分かっている。だが、仮に同じ理由を持った同業者がいたとして、その人物は今も復讐の炎を燃やしているのだろうか?もしかしたら、復讐を忘れて殺し屋と
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