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横浜事変-the mixing black&white-
日常が少しずつ苦みを帯びている事にケンジは気付かない
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た。
――やっと始まったか。少しは毎日が楽しくなる。
その人物はとても美形な顔立ちをしており、足を組んだ姿がとてもサマになっている男子だった。ワックスで整えた黒髪と輪郭の細い顔の調和は、女子を射止める事に勤しむ必要性を感じさせない。周囲でゲームやアニメの話をしている男子達から敬遠の目で見られるのも無理ないだろう。
そんな容姿端麗を具現化したような少年は、一切顔に感情を吐き出さないまま、ゆっくりと教室を出て行く。これ以上この場に残っていても時間の無駄だし、早く帰宅して仕事の準備しなくてはならないからだ。
――とりあえず、今日は奴らとの記念邂逅だから派手にいこう。ナイフの切れ味は最高にな。
無表情の裏で物騒な単語を呟く少年。彼は校舎を出て、横浜駅への方へと足を向ける。ある程度学校から離れたところで通学路から一本道を曲がり、二つ折りの携帯を取り出しながら日陰に向かい、どこかに電話をかける。耳に当て通話状態になるのを待つこと6秒、彼の耳に聴き慣れた男の声が飛び込んできた。
『―――。――――――?』
「別にウキウキしてない。ただの質問と確認だ」
『―――?』
「そう、質問だ。……単刀直入に言わせてもらうと、アンタ、本当に殺し屋統括情報局を叩くつもりか?」
『―――。―――?』
「バカ言うな。むしろ戦うのは楽しみだ。でも良いのか?アンタはあの組織の一員だろ。俺らみたいな一匹狼の集団集めて、何が目的だよ?」
『――――――――。――。―――――――』
「え、新人?殺し屋の?いやいや、それは舐めてるだろ。え?片手で的のど真ん中にヒットさせた?そんなの無理に決まってんだろうが。威力が弱けりゃ話は別だけど、普通は反動で肩に衝撃が……」
『―――――』
「事実、ね。ま、それは頭の片隅に入れとくよ。んで、ここからは確認だ」
『―――?』
「俺らは――アンタが頭張ってる裂綿隊は、殺し屋統括情報局の連中を殺して良いんだよな?」
『―――。―――――』
「そうか。じゃ、アンタが止めても俺らは止まらないぜ。他の連中もその考えだろうからな」
『――――』
そこで少年は携帯の通話を切って一呼吸し、ニヤリと笑った。普段感情を表に出さない事を知っている者からすれば、これほど新鮮なものはないのだが、道には彼以外誰もいなかった。
そして少し顔を俯けてから、期待を滲ませた声で呟いた。
「……たまには面白い事もやってみようじゃん。殺し屋同士の、世界一意味の無い殺し合いってのをさ」
*****
帰路を歩いていたケンジは、横浜駅周辺がいつも以上に騒がしい事に気付いた。人の流れの一部が高島屋へと向かっているのだ。夕
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