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横浜事変-the mixing black&white-
人が脆くて弱い生き物であることをケンジは自分の手で証明した
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いつも一緒にやるんじゃないかなって思ったんです」
狩屋のからかいにケンジが口を尖らせる。そんな二人のやり取りを見て八幡が顔色を変えずに説明に言葉を付け足した。
「いつも一緒というわけではない。今回の任務はフルメンバーいなくても何とかなりそうだという、本部の指示だ」
「本部、ですか」
――そう言えば、本部の説明は一度もされた事ないかも。
八幡の口から出たキーワードを聞き、再び本部が気になった。局長は組織の構造やサイクルで『本部』の名を口にしていたが、八幡や狩屋から本部の所在地を聞いた事は無いのだ。
だが今はそれを気にしている場合ではない。先陣を切って歩き出した八幡と狩屋に習ってケンジも足を動かしていく。
「行くぞ。対象はこっちだ」
「りょーかい」
「は、はい」
三人は喧騒で溢れ返る駅周辺を歩き、内海橋と呼ばれる中規模の橋を渡る。それからホテルやスーパーを横目に歩を進め、最終的にコーヒーをぶちまけて出来た染みのような斑点が目立つビルの前にまでやって来た。周囲にはビルやコンビニが並んでいる。完全に街の一部として溶け込んでいたので、一見しても仕事対象だとは分からなかった。
「ここの3階にある偽装旅行会社の関係者が殺害対象だ。表から入れるのは一度だけだ。準備はいいか?」
「オーケーオーケー、いつでも行けるぜ」
「ちょ、ちょっと待って下さい。僕、何も聞いてないんですけど」
「なに?……狩屋、これは一体どういうことだ。メールする時に伝えろと言ってあっただろう」
「……。……あ」
まさに今思い出したように口を開き、徐々に顔色を悪くしていく狩屋。目は地面をうろうろし、まともに八幡の目を見れないでいる。そのときケンジは自分が無駄な事を言ってしまった事に気付いた。
八幡は溜息を吐き、やれやれといった風に首を振ってから電話を取り出した。
「こちらチームA-1。状況に不祥事。一時撤退申請を出します。……了解。一時撤退指令を受領。……次の任務遂行時刻は30分後。了解」
誰かと単語の多いメッセージを飛ばし合ってから、八幡は「ふぅ……」と珍しく二度目の溜息を漏らした。そして狩屋の金髪を若干睨んでからこう言った。
「30分後に任務再開だ。少し場を離れる」
*****
ケンジ達はコンビニで軽めの夕食を買い、近くの公園で食べる事にした。少量の食事に似て、三人の間にも言葉の応酬は少ない。
そんな気まずい空気の中、一番最初に食べ終わった狩屋が覇気のない声で八幡に謝った。
「八幡さん、すんませんでした」
「もう構わない。が、今度からは気を付けてくれ。作戦が中断されるというのは本部や他チームにも迷惑をかける事にな
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