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横浜事変-the mixing black&white-
狩屋達彦は目の前の少年に得体の知れない感覚を掴み取った
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し本当に自分の予測が的中していたらと考える度に、脳内に埋め込まれた銃の一般論がその蓋然性を否定してくる。
――まさか、そんな筈ない。もし、もしも本当だってんなら、こいつは、こいつは――。
そして、オレンジ色の光が遮られた位置から窓に掛けられた的の様子を見て、彼は確信した。
――こいつは、稀代の殺し屋かもしれない。
「ハハッ……クハハハッ!おもしれえ、おもしれえな暁ケンジ!」
「……え、その」
「なんつー弱気な面してんだ、さっきの挑発的な態度はどこいったんだよ。そんなんじゃ俺みたいにカッケ―男になれないぜ!」
「はぁ」
気の抜けた返事をするケンジに「今日はもう終わりでいいから帰って休め」と言っていつもより早めに帰宅させる。数分後、瓦礫や壊れた重機が建物内部の半分以上を占める空間に金髪男の呻いた声が響いた。
「八幡さん、アンタとんでもないヤツ連れてきてくれたよ。普段は大人しいクセして、実は根性あって、真面目で……おまけに人を殺す技術をあっさり身に付けちまった。アンタは言われても信じないだろうよ」
「そんなアイツが片手で拳銃撃って、普通の対人戦闘よりも少しだけ距離のある位置から的のど真ん中に当てたっていう、どうしようもない事実をさ」
*****
山垣学園は横浜駅から徒歩数十分の市街地内に位置する私立高校だ。数年前に設立されたばかりの新設校で、各施設は近隣の高校よりも充実しており、破損箇所や自然災害などによるダメージはほとんど受けていない。また、大学のように大きな校舎からは横浜駅周辺を中心に沿線や高速道路を一望できるのも特徴の一つで、生徒達の憩いの場として機能している。
偏差値は年々上昇傾向にあり、入学率は厳しくなる一方だ。駅から近い分通学に便利なうえ、放課後になったら?華街に繰り出せるというお得な面を考えると、とても充実した立地条件を揃えているといえるだろう。
それでいて私立校として学業には力を入れており、自主学習用の施設が用意されていたり、夏休みに無料講習が受けられたりと、保護者からの支持も獲得している。まさに『出来る』学校だ。
そんな風紀の安定した高校に通うケンジだったが、彼は別にこの学校に対して何かこだわりがあるわけではなかった。
受験生だった当時、まだ新設校として知られていた山垣学園はあまり受験の対象にされていなかった。偏差値は中の下、学内での雰囲気などもあまり知れていなかったからだ。学校説明会などがあっても、半分ほどの受験生は他校を選んでいた。
そんな中、もう半分の受験生の4割近くは山垣学園を受験した。ケンジもその一人で、理由は『新しい学校なら合格しやすいだろう』という安直なものだった。他の生徒も大半はそれが理由だと
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