暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
局長は姿を見せぬまま街の裏を台頭する組織について語る
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ら響く老人の声はとても朗らかで、これまた裏の住人とは思えなかった。

 『まずチーム毎の報告を済ませよう。暁君にはその後に組織の説明するよ』

 ――その、チームってのがまず分からないんだけどなぁ……。

 とはいえ新米の自分が流れをぶち壊すわけにもいかない。結局チーム毎のリーダーと呼ばれた人間による報告が行われている間、ケンジは殺し屋達の会合を先程の狩屋と宮条のように遠い目をしながら眺めていた。

*****

 定時報告は一つ一つの項目を終え、数十分後に全てが終わった。各殺し屋達は三者三様の態度でターミナルを離れて行った。大半の人間が消えた事で空虚さが増したそこにケンジと八幡、通話先の局長だけが残った。

 『八幡君はどこまで話したのかね?』

 「現在の殺し屋情勢だけです。組織についてはやはり長である局長から聞いた方が良いと判断したので、簡単にしか伝えていません」

 『なるほど。私の電話番号を持っている君だからこその選択だね。阿久津君でも良かったんだがな』

 「副局長は依頼の仕分けで忙しいでしょう」

 『まるで私が忙しくないみたいな言い方だね』

 「いえ。ただ、この時間は私達にも局長にとっても都合が良いかと思っただけです」

 『そうとも受け取れる。では話をしようか』

 通話口から局長が息を吐いたような音がザザッと聞こえ、続いてしわがれた声が横浜港に吹く風に乗って二人の耳に届けられる。

 『我々は殺し屋統括情報局。横浜の裏に潜む殺人請負組織だ。あらゆる情報をかき集め、常にその状勢を見守る。本部は依頼者から送られてくる多くの依頼を『組織に関わるもの』と『一般の殺人依頼』に振り分けて、それらを各殺し屋チームに任務として渡す。要約すればこんなところだね』

 局長はそこから長い事語り続けた。

 殺し屋チームはAからDまであり、それぞれ4〜5人で構成されている。そしてそれぞれのチームには通常とは違う特殊担当というものが用意されている。A、Cは特殊任務担当、Bは隠密行動担当、Dはスクランブル出撃、つまり切り札として動く場合だと言う。

 『と言ってもそうした非常事態はほとんど起きないから安心してくれ。普段は依頼で人を殺す程度だから』

 ――人を殺す程度って。

 彼らにとってはそれが日常だからそれを突っ込むのは失笑を買うだけなのだろうが、それでもケンジには違和感が拭えなかった。

 局長は殺し屋統括情報局は規模が大きいため、敵が多いとも言った。そして他国のマフィアや他組織とは提携を結んでおり、事態が危険レベルに達した時は協力体制が敷かれるらしい。それを聞いた時は完全に遠い世界の話のように思えて逆に驚けなかった。


 『大まかに言えばこんなところだろう。暁君から
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