暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
局長は姿を見せぬまま街の裏を台頭する組織について語る
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宮条はそう言って彼らに問うた。けれどその中に異論を述べようとする者はいなかった。彼女は八幡の方に目をやり、八幡はその視線に頷いておもむろに携帯を取り出す。早い手つきで携帯番号を打ち込み、どこかに電話を掛けたかと思うと通話は瞬時に繋がった。スピーカーモードにした八幡の携帯からは、しわがれた男の声が弾け出た。
『やあやあ殺し屋統括情報局の殺し屋諸君。今日まで生き残れたのはまさに奇跡の連続と言えよう』
「局長、毎度そのセリフで始めるのは止めにしませんか?妙に『死』を意識してしまいます」
『ふむ。私は気に入っていたのだが。八幡君がそういうなら今後は違う言葉で始めるとしよう』
――え……これが局長?
八幡が「局長」と言ったところで、ケンジは驚きを隠せなかった。周りは少しも気にしている様子を見せていないが、初めてこの場に出席したケンジにとって、これほど驚愕を覚えた事は無かった。
――てっきり、ゆっくりここまで歩いてきてカッコよく現れると思ったんだけど……まさか電話で登場するなんて。まただ。また予測を変えられた。
「局長、今日は各チームの報告の前に、新人の紹介をしたいのですが」
『新人?ああ、山垣学園の学生さんだね』
「え、ええええええ!何で、僕のこと!」
「覚えておくといい。局長は何でも知ってるんだ」
――そんな真顔で言わないでよ!
八幡が簡単な説明をしてくれたが、それでも納得出来ない。もしかしたら個人情報も把握されているかもしれない。そう考えただけで血の気が引いていく。
しかし局長はケンジの今の心の内を察したようにフォローの言葉を飾った。
『安心してくれ暁君。私は他人の情報を漏洩したりする愚か者ではない』
「ま、まだ僕名前名乗ってないのに……」
『む、しまった。本人は知らないのに他人が知っているような事はしないと決めたのに』
もはや緊張なんて吹き飛んでいた。ただし恐怖は緊張の分まで倍増し、自分や親族の身がより一層心配になったが。
――僕がこんな事を考えなければ母さん達に迷惑掛けなくて済むんだけどね。
自分に他人を心配する権利などないと言い聞かせながら、ケンジは改めて自身の名前を名乗る事にした。
「暁ケンジです。合気道を数年やった程度で運動音痴です。よろしくお願いします」
「えっ、お前合気道やってたの!?すげぇ!」
そこでいきなり狩屋が口を挟んでくる。しかし即座に彼の後ろに回り込んだ宮条によって後頭部に打撃を喰らい悶絶してしまう。
――宮条さん、僕の右隣にいた筈なのに……いつの間に左側にいた狩屋さんのところまで?
素朴な疑問を頭に浮かべつつ、今は局長に集中する事にした。携帯か
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